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蜜刻に揺れて
第1章 change the neworld
藪から棒な質問に眉を顰める静。

「花屋、です」

『じゃあ花子って呼ぶから』

「は?」

『俺の事はこれからタロウでいいよ』

意味がわからない。

さっき静のフルネームは確認済みなのに何故わざわざあだ名を付ける必要があるのか。

そして''これから''という単語が引っかかる。

「あの、何なんですか?これからとか…これっていたずら電話ですよね?」

『そうだけど?』

間髪入れず応えるタロウの台詞に目眩がしそうだ。

「…仕事は?」

『会社員』

「…どっからタロウが出てきたわけ?」

『花子といえばタロウでしょ?』

まともに話しができそうにない。

「何でそんなの見て電話してきたの?」

紛れ込んだ懸賞の紙。

『俺も此処じゃない何処かってとこに行きたい気分なんだよね』

共感が距離を縮めると聞いた事がある。

それでもこれはいたずら電話の延長で、向こうは共感材料を手にどんな言葉も紡げてしまう状況だった。

その台詞に簡単に載るような歳でも無かった。
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