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蜜刻に揺れて
第8章 奥深く暗い森
夜更けの公園でブランコが揺れる音はやけに響く。

竜の話しに耳を傾けていた静は聴き終わっても口を開けずにいた。

月も陰る雲の広がった夜更けの公園。

闇に溶け込む様に言葉もない。

静は唇を噛んでから乾いた喉から言葉を絞り出した。

「…最低…」

竜に反論はない。

「…卑怯…だよ…」

静の淡々とした口調が竜の胸を締め付けた。

「…本当…何やってんの?ちゃんと告白してキレイさっぱりフラれないから、そんな状況他に漬け込まれるのよ!大体ね、竜のくせに回りくどいの!正々堂々と真正面から当たって木っ端微塵に砕けなさいよ!」

「は…ハナコ?」

「ちゃんと撥春さんの前であいりちゃんに告白してばっさりフラれて来なさい!」

「…はい…」

まくし立てた静に圧倒されながらも、その真剣な静の横顔を見つめる。

「フラれたら、慰めてくれる?」

「まさか、あのね、世の中フラれても仕事はあるし、お腹も減るの、一人で乗り越えるの!」

「ハナコちゃん、冷た〜い」

茶化す竜の顔は晴れていた。

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