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蜜刻に揺れて
第8章 奥深く暗い森
「ハナコに慰められたーい!慰めてほしーいー、慰めてくれるなら告るから!」
「何それ?!ケジメつけないからいつまでもそうやってウジウジして凹むんでしょ?自分の為でしょーが!」
一括する静の声が心を解してくれる。
誰も責めなかった。
浩一郎も、撥春も、聞き出そうともしなかった。
それは自分で決めた事なのにどんどん胸の奥を侵食していった。
重い重い枷に自ら縛り付けられて、どうやって解くのかもわからなくなってしまった。
今更。
今更どうやって外せばいい?
その答えを静がくれた。
解決するかはわからないけれど、少なくとも道標は出来た。
「ハナコ、行こう」
帰るのかと勘違いした静。
が、向かう方向は静の家でもなく、竜の家でもなかった。
高級マンションのエントランスは11時を回っていたからでもなく、静まり返っていて二人の足音だけが響いていた。
エレベーターで上がり、真っしぐらにそのドアを目指す。
「ちょ、タロー?此処どこ…って、まさか…」
インターホンを連打する竜。
ガチャリとドアが開いて、不機嫌を前面に押し出した撥春が顔を覗かせた。
「何時だと思ってんだよ」
「あいり、一緒?」
撥春の表情に陰が差した。
「何それ?!ケジメつけないからいつまでもそうやってウジウジして凹むんでしょ?自分の為でしょーが!」
一括する静の声が心を解してくれる。
誰も責めなかった。
浩一郎も、撥春も、聞き出そうともしなかった。
それは自分で決めた事なのにどんどん胸の奥を侵食していった。
重い重い枷に自ら縛り付けられて、どうやって解くのかもわからなくなってしまった。
今更。
今更どうやって外せばいい?
その答えを静がくれた。
解決するかはわからないけれど、少なくとも道標は出来た。
「ハナコ、行こう」
帰るのかと勘違いした静。
が、向かう方向は静の家でもなく、竜の家でもなかった。
高級マンションのエントランスは11時を回っていたからでもなく、静まり返っていて二人の足音だけが響いていた。
エレベーターで上がり、真っしぐらにそのドアを目指す。
「ちょ、タロー?此処どこ…って、まさか…」
インターホンを連打する竜。
ガチャリとドアが開いて、不機嫌を前面に押し出した撥春が顔を覗かせた。
「何時だと思ってんだよ」
「あいり、一緒?」
撥春の表情に陰が差した。