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フルカラーの愛で縛って
第1章 檻



「…ッ」



真っ白な布団の上に仰向けに寝かされて、詩織は堪らず身体を捩った。

襖を閉めた男は、部屋の端に置かれた香炉の蓋を開け、香を焚いている。

彼女を抱き上げた時に汚れたシャツは、和室の行灯の光を受けて、まるで返り血を浴びたように赤く見える。



その格好のまま、彼は詩織に覆いかぶさる。



「詩織。こっちを向きなさい」

「・・・あぁ」



肩を掴まれ仰向けにされる、それだけのことで、詩織の口からは熱い息が漏れた。

瞳がとろりと潤み、薄く開いたままの唇が微かに震えている。

その奥の赤い舌を見て微笑むと、槙野は右手で眼鏡を外し畳に置いた。



獲物に狙いを定めた蛇のように、一瞬動きを止めてから、男は詩織の唇を素早く塞いだ。


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