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フルカラーの愛で縛って
第1章 檻
部屋に香炉の香りが妖しく充満している。
甘ったるくくすんだ香りに鼻腔を侵されながら、詩織は満足に呼吸が出来ない金魚のように何度も口をはくはくと動かした。

「はっ、……アッ!」

男の指が自分の中で縦横無尽に動き、弱い天井の襞をグイグイと押すのを感じる。
シーツを蹴ろうとした右足は、意外なほど力強い彼の左手に押しとどめられ、逃れる場所を失った腰が小さく浮いて上下した。
まるで彼女が快楽を追いかけ腰を揺らしたかのように。

「あっ、あっ……! や、め…ッ」

槙野の視線は彼女の黒々とした茂みに注がれている。
何度か内壁をかきまぜた指を一度ぬぷっと引き抜くと、その指の色が落ちきったことを確認し、粘着質な滴(しずく)が絡むその指を割れ目に押し当て、そのままゆっくり上に滑らせる。

「んぁッ」

詩織の喉が、ひく、と震える。
上目で彼女の動きを確認してから、視線を戻しながら槙野が口を開く。

「詩織、ここは何て言うんだ?」

「あ、…ああ、……い、や」

「ほら、口にしてみなさい」

「……っふ、あッ」

強情な女だ。
だが簡単に堕ちないから面白い。
既に皮から頭を出している陰核を指の腹で刺激しながら、槙野は布団の上で煩悶する彼女の肢体を眺めた。
快感で淡い桃色になった身体が耐え切れずにくねくねと動く姿は、自宅に足を踏み入れた時の淑女然とした振る舞いからは程遠い。
男の胸中に暗い嗜虐(しぎゃく)の火が灯る。

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