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フルカラーの愛で縛って
第1章 檻

13時きっちりに、その禁域の扉は開く。
詩織は家主の招きに一つ頭を下げると、傘を畳んで黒い扉の中に足を踏み入れた。

今日も槙野はシンプルな格好だ。
丸い細縁の眼鏡が似合う黒髪の彼は、どこか大正時代の書生を思わせるような穏やかでハイカラな雰囲気を身にまとっている。
決して中年太りもしておらず、むしろひょろりと細い体躯の彼は、白髪も染めているのか、老けこんだ印象は感じさせない。

ブーツを脱ぎ、玄関先でコートも脱ぐ。
大きな姿見の横のハンガーラックからハンガーを1本取り、槙野が片手を差し出している。
彼は紳士だ。表向きは。

断る理由を持たない彼女は、黙ってコートを槙野に差し出した。


  *  *  *


男の家はアトリエになっている。
玄関廊下を抜けて広がる15畳程のリビングも、その横の18畳の洋室も、2階にある薄暗い小部屋や、その隣の障子で仕切られた畳の部屋までも、全てを、彼はアトリエに使う。
どこもかしこも仕事部屋にして、この男は嫌にならないのだろうか。一体、どこで食事をして、どこで眠って、安らぎを得るのだろう。
そんなことをぼんやり考えながら、詩織は、彼に導かれるまま進む。

男は2階の小部屋へ向かっていた。
小部屋といっても8畳はある。
フローリングのその部屋は3方の壁が黒塗りで、1面だけが白い。アトリエというよりも撮影スタジオのような空間だ。
道路に面した壁にのみ(こちらが白い壁だ)、20cm四方の正方形の小窓を4つあしらっているが、今日の天気では太陽光も差し込まず、いつも以上に、湿った空気が淀んで見える。

詩織が密かに"檻の部屋"と呼ぶ、この空間の灯りをつけて、槙野は奥の丸椅子を指さした。
頭上の裸電球が部屋の中に生み出す微妙な陰影の中を、詩織は黙って指示通りに進む。
彼女は今日、白地に赤い斜めのラインが入った、シルエットの美しいワンピースを着ていた。
彼は、このワンピースを気に入っている。
曰く、「掻き立てられる」そうだが、詩織に意味は分からない。

とはいえ、そんなことを理解しても状況は何も変わらない。
丸椅子の上に持っていた肩掛けカバンを置き、彼女はワンピースのファスナーに指をかけた。

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