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フルカラーの愛で縛って
第2章 花
 *  *


控室に戻って、詩織は、楽譜を胸の前に抱えたまま、椅子にストンと腰を落とした。
丸い椅子だ。背もたれのない、木製の椅子。あの男の家にある椅子と、同じ椅子だ。
いつもは閉めだしているはずの苦い感情が、座った途端に背骨から這い上がってきていた。
ピアノを弾き終えて、声をかけられることは、これまでも時たまあった。
だが、手を握られることは、そうそう無い。
あの男の汗ばんだ手の感じが、詩織の皮膚感覚に蘇る。
肌の上を、蝸牛(かたつむり)が這っているような、息苦しい悪寒を感じる。

(・・・・・・)

詩織は暫くの間、微動だにせず目を閉じていた。
次の演奏時間まで、あと少し。
その右手が、小さく震えていた。
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