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フルカラーの愛で縛って
第4章 音
2回のステージを終えた彼女が控室に向かおうとした時、カウンターの中から声がかかった。
「詩織ちゃん」
意外な声に足を止める詩織に、庵原は細い目を更に細めて一瞬微笑む。
「最後に弾いた曲、あれ、何て曲?」
「あぁ。あれは“SMILE”っていう曲です」
「スマイル? …へー、スマイルか」
「あの…」
不思議そうに首を傾げた詩織に、庵原はレモンをカットする手を止めて首を振った。
「いや、なんでもない。良い演奏だった。引き止めて悪い」
「うぅん。ありがと、庵原さん」
軽く頭を下げ控室に戻る詩織を見送った庵原の耳に、隣に立つバーテンダーの声が聞こえる。
「スマイル、ねー」
見ればシェイカーに材料を入れながら、国崎が冷蔵庫のある庵原の立ち位置傍に立っていた。
「なんだよ、チーフ」
「いや、笑顔にも色々形があるな、と思ってさ」
その手元を流し見て、納得する。彼が作っているカクテルの名前が”プレミアム・スマイル”だったからだ。
なるほど、と思いながら冷蔵庫からレッドチェリーを取り出して赤いピンに刺すと隣に渡す。
「笑顔は俺より、お得意じゃないすか?」
軽口を叩く庵原に笑って、国崎はシェイカーの蓋を丁寧に締めて肩口へ掲げた。
「詩織ちゃん」
意外な声に足を止める詩織に、庵原は細い目を更に細めて一瞬微笑む。
「最後に弾いた曲、あれ、何て曲?」
「あぁ。あれは“SMILE”っていう曲です」
「スマイル? …へー、スマイルか」
「あの…」
不思議そうに首を傾げた詩織に、庵原はレモンをカットする手を止めて首を振った。
「いや、なんでもない。良い演奏だった。引き止めて悪い」
「うぅん。ありがと、庵原さん」
軽く頭を下げ控室に戻る詩織を見送った庵原の耳に、隣に立つバーテンダーの声が聞こえる。
「スマイル、ねー」
見ればシェイカーに材料を入れながら、国崎が冷蔵庫のある庵原の立ち位置傍に立っていた。
「なんだよ、チーフ」
「いや、笑顔にも色々形があるな、と思ってさ」
その手元を流し見て、納得する。彼が作っているカクテルの名前が”プレミアム・スマイル”だったからだ。
なるほど、と思いながら冷蔵庫からレッドチェリーを取り出して赤いピンに刺すと隣に渡す。
「笑顔は俺より、お得意じゃないすか?」
軽口を叩く庵原に笑って、国崎はシェイカーの蓋を丁寧に締めて肩口へ掲げた。