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フルカラーの愛で縛って
第5章 炎
「悪いな、じじい。俺は学(がく)が無いから、うまい言葉が見つからねーわ」

腰を曲げて槙野の襟首を左手で掴み、庵原は上体を戻しながら、男の身体を片手で引っ張りあげた。
その歪んだ顔に眼鏡は無い。衝撃でどこかに吹っ飛んだらしい。
拳の一撃を受けたせいで左の鼻の穴から鼻血が垂れている。
痛みと衝撃で呆然としている男の顔を、ゴミでも見るように蔑(さげす)んだ視線で睨んでから、庵原は冷めない怒りに身を任せるまま口を開いた。

「だからさ。身体で学びな? ゲスの末路って奴」

喋る庵原の右拳に強く血管が浮き上がった。
直後、みぞおちに拳を深く鋭く埋めてから、左手を離し、ふらついた男を後ろへ蹴り飛ばす。槙野は2,3歩よろめながら後退すると、自販機に背中をぶつけてから、ずるりとへたり落ち、腹を抱えて弱々しく唸った。
暫くは動けないはずだ。みぞおち一発で気絶させられないのは喧嘩の才に欠けているせいだと自覚しているが、呼吸が満足にできなくなる苦しみは、庵原も経験で知っている。

明滅する自販機が、男の精神の癌を照らしているようだ。

項垂れる男の前まで無言で歩み寄り、腰を落とすと不良のように尻をつけずに座り込む。左手を伸ばして槙野の髪を掴み、強引に顔を上げさせた。殴られて赤く腫れ上がった頬と、血と涎に汚れた顔を一瞥し、庵原は槙野の耳元へ唇を寄せる。

「二度と詩織に近寄るな」

低く告げてから立ち上がり、庵原は最後に、靴底で男のみぞおちをグッと踏みつけた。

「ぐっ・・・ぅッ!」

痛みと呼吸困難で意識を失う男を見届けてから、庵原は詩織の方へ振り返る。

彼女はブロック塀に右肩を預けたまま、呆けたようにバケツを持って、こちらを見ている。
その瞳が何処か焦点を外しているのに気付き、庵原は苦そうに一度斜め下に視線を外してから、振り切るように彼女に近寄った。
形状記憶で握っているだけの指を外し、バケツを手にすると吸い殻と新聞をゴミ捨て場に捨てて、そのバケツの中に、地面に散乱するポラロイド写真を無造作に突っ込んでいく。
明らかに1回や2回のセックスでは撮れないであろう、膨大な数の写真と、そのヴァラエティに富む被写体の状況に顔を歪めながら、全ての写真をバケツに入れて、庵原は黒いベストのポケットを探った。
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