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フルカラーの愛で縛って
第7章 愛
絵描き、という(空虚な)肩書を持つ僕が、デジタルカメラを手にした時、君は驚き怯えていたね。それでも尚、君が僕に振り返り、その美を少しでも分け与えてくれたことに、今は心から感謝している。その感謝を、この作品に込めることが、僕に与えられた、初めての役割なのではないかと、今は思う。
君に出会えた運命に、そして君が僕の創作に応えてくれた姿勢に、僕に寄り添ってくれた行為に、全てに、僕は感謝している。
何も持たない僕に、多くの色を見せてくれたことに、ただ、僕は感謝しているんだ。
作品を通して伝えられないのは、僕の力量が無いせいだが、こうして言葉にして伝えようと思っても、伝えられる真実が1%にも満たないことが、今はとても歯がゆい。
それでも、感謝を込めて、季節外れに咲く花の名を、君に贈ろう。
僕と出逢う度に、常に美しく咲き誇ってくれた君のために。
空高く飛び立った君が、行く先々で、季節という枠や時間という概念に囚われず、常に穏やかに自由に咲き誇れるように。どんな道を進んでも、羽を休める花を見つけられるように。
あらゆる美は、全て君の中にあり、君の声で語られ、君の吐息で形になった。
ありがとう、アゲハ。
この思いは、きっと、この作品が世に出た後(のち)も、例えば僕が死した後も、ずっと続いていく。永遠(とわ)の感謝であり、永遠の愛だ。
永く続く愛を誓うと共に、いつでも続きを描けるよう、僕はこの作品の最後にしおりを挟もうと思う。
僕から君への愛は、これからも続いていく。
この"しおり"を挟んでいる間は、ずっと―――。
槙野征二』