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曖昧なままに
第11章 遠くを訪ね
やがて迎えたGW。飛び石連休となった弊社に於いて、真に連休となったのは五月に入ってからの五日間のみ。
その初日の午前九時過ぎ――。
「G県……K郡……S町…………と」
車に乗り込んだ俺は、例の写真の裏に記された住所をカーナビへと入力。そこは一応俺の住む県の隣県ではあったが、距離的にはかなり遠い。高速道路も直接は伸びてはおらず、その上幾つかの峠を越えて行く必要があるようだ。
ナビの示した到着予定時刻は、夕方過ぎである。まあ概ね、想定の範疇だ。初めから一日で事足りると、考えてはいない。だから俺は、この連休での行動を選んでいた。
そこに行き着いたとして、俺の目的が果たされる保証はない。しかし俺にはもう、それ以外の手は残されていなかった。
愛美には『もう一度会いたい』との旨を、何度もメールしている。だがこの日に至るまで、その返事は梨の礫。当初、彼女は同じ市内に住んでいると明かしてはいるが。
人口七万弱の地方都市とはいえ、その姿を闇雲に探し回るのは自ずと限界があった。
「よし……とにかく、行ってみるか」
俺は意を決して、車を発進させる。
果たして辿り着く場所に待つのは――写真の男なのか、或いは愛美本人――それとも?
胸に不安と期待を混在させながら、俺はともかくその場所を目指した。
※ ※
「ああ、畜生……」
運転で疲弊した俺は、思わず呟く。
当然ながら、俺と同じく世間様も連休の真っただ中。幾多の渋滞に巻き込まれ、俺は大幅な時間のロスを余儀なくされていた。ようやく目的の町に入ったのは、既に日が暮れた頃である。
この調子では、今日中に住所の家を探すのは無理か。大体、端から非常識なのは否めない。全くの他人の男が訪問すれば、(未だ誰かも知れない)先方もさぞ怪しく感じることだろう。
もう夜だし明日にでも……否、何処に泊まるつもりだよ。駄目だ……無計画過ぎるだろ、俺って……。
勢い行動に出たものの、早くも心は折れそうである。それでも何とか行くだけ行こうと、車を走らせて行く。そして長閑な田園地帯を抜け、山間の細い道を走っていた時――。
『目的地、周辺です』
カーナビの音声が、到着したことを告げる。
俺は道の脇に停車して、車を降りると――
「……」
その前には、一軒の古い民家があった。
その初日の午前九時過ぎ――。
「G県……K郡……S町…………と」
車に乗り込んだ俺は、例の写真の裏に記された住所をカーナビへと入力。そこは一応俺の住む県の隣県ではあったが、距離的にはかなり遠い。高速道路も直接は伸びてはおらず、その上幾つかの峠を越えて行く必要があるようだ。
ナビの示した到着予定時刻は、夕方過ぎである。まあ概ね、想定の範疇だ。初めから一日で事足りると、考えてはいない。だから俺は、この連休での行動を選んでいた。
そこに行き着いたとして、俺の目的が果たされる保証はない。しかし俺にはもう、それ以外の手は残されていなかった。
愛美には『もう一度会いたい』との旨を、何度もメールしている。だがこの日に至るまで、その返事は梨の礫。当初、彼女は同じ市内に住んでいると明かしてはいるが。
人口七万弱の地方都市とはいえ、その姿を闇雲に探し回るのは自ずと限界があった。
「よし……とにかく、行ってみるか」
俺は意を決して、車を発進させる。
果たして辿り着く場所に待つのは――写真の男なのか、或いは愛美本人――それとも?
胸に不安と期待を混在させながら、俺はともかくその場所を目指した。
※ ※
「ああ、畜生……」
運転で疲弊した俺は、思わず呟く。
当然ながら、俺と同じく世間様も連休の真っただ中。幾多の渋滞に巻き込まれ、俺は大幅な時間のロスを余儀なくされていた。ようやく目的の町に入ったのは、既に日が暮れた頃である。
この調子では、今日中に住所の家を探すのは無理か。大体、端から非常識なのは否めない。全くの他人の男が訪問すれば、(未だ誰かも知れない)先方もさぞ怪しく感じることだろう。
もう夜だし明日にでも……否、何処に泊まるつもりだよ。駄目だ……無計画過ぎるだろ、俺って……。
勢い行動に出たものの、早くも心は折れそうである。それでも何とか行くだけ行こうと、車を走らせて行く。そして長閑な田園地帯を抜け、山間の細い道を走っていた時――。
『目的地、周辺です』
カーナビの音声が、到着したことを告げる。
俺は道の脇に停車して、車を降りると――
「……」
その前には、一軒の古い民家があった。