この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
曖昧なままに
第13章 忌むべき過去(愛美の独白)
「愛美ちゃん。朝御飯、ここに置いておくよ」

 午前十時。部屋の外から、そんな声が聴こえた。それは何時ものこと。柴崎さんは用意した朝食を私の部屋の前に置き、それから何処かへと出かけて行く。

 しかし、その日は様子が違っていた。部屋の前から、彼が立ち去る気配がない。そして暫くすると、また声が聴こえた。

「今日はおじさん、仕事が休みでさ。だから暇なんだ。よかったら、一緒に遊んでくれないかなぁ」

「……」

 私が取り合わないのも構わずに、柴崎さんは一人で話し続ける。

「あ、そうだ。ゲームでもしようか。愛美ちゃん、持ってるんだろ? おじさんに教えてくれよ。それとも……そうそう、アニメでも観よっか。好きなんだよねよね、アニメが。おじさんだって、少しは知ってるぞ。ホラ、何て言ったっけな? ロボットが勝手に暴れ出しちゃうやつ。ハハハ……古いかな。後は、そうだなぁ――」

 まるで止もうとしない言葉。それに根負けするように――。

 カチャ――。私は部屋のドアを開いていた。

「お、出て来たな。久しぶりだね、ってもの変か」

 部屋の前で胡坐をかき、私を見上げて柴崎さんが笑う。

 ドキッ――と、その笑顔に敏感に反応する私の胸の高鳴り。でも――

「で――何して遊ぶ?」

 そう問われた時、私は急に腹立たしくなった。

「遊びません。あんまり、子ども扱いしないで!」

 そう言い放った勢いにまま、ドアを閉めようとする。

 けれどその時、大きな手がガッとドアの隙間に割って入った。

「は、放してっ!」

 柴崎さんの右手が、ドアの端を掴み。私が両手でドアノブを引いても、まるでビクともしない。大人の男の力を、私は初めて実感していた。

 そして柴崎さんの顔から笑顔が消え、そして低い声で説く。

「愛美ちゃん……部屋に逃げてちゃ駄目だ。学校にも行った方がいい。じゃないと、必ず後悔する。おじさんが、そうだったようにね……」

「そんな、お説教――聞きたくないっ!」

 ――ギチィ!

 私が全力でドアを閉めようとした時。急に力がふっと抜けて、直後に伝わる嫌な感触。

「あっ!」

 柴崎さんの手を、ドアに挟み込み。驚いて声を上げると、私は咄嗟にドアノブを放す。

 その反動でドアが、ギィっと音を立て開き――

「イタタ……」

 右手を抑えて蹲る、柴崎さんの姿が……そこに。
/177ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ