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曖昧なままに
第3章 白くない聖夜
 流れのままに、俺は彼女を押し倒していた。否そうする前に、愛美は自ら身体をベッドへと預けたようである。

 白いシーツの上――艶やかなセミロングの黒髪が、ふわっと放射状に広がった。

「んっ……ん」

 ちゅ、くちゅ――と立てた音は、俺が愛美の唇を吸った際のもの。愛美は時折、苦しそうな声を洩らして。きゅっと結んだ唇が、俺の舌の侵入を阻んでいた。

 それならば――と俺は脇腹の辺りに左手を動かし、肋骨の上をゆっくりと這わせながら徐々に上方へ。

 そうして右側の乳房にそっと添えると、それを下から持ち上げるように軽く掴んだ。

「ッ……!」

 愛美は何かに耐えるように、ぎゅうと両の瞳を瞑っている。

 その様子を窺いつつ――。俺は左手の人差し指を立てると、それを用い山の頂上を探った。そして――

 ツン――。

 と、心地よい弾力に触れ。それと同時に――

「あっ……」

 その声を洩らすと、閉ざされた愛美の唇が開く。

 その期を逃さず、俺は舌を開いた口の中へ滑り込ませた。


「んっ……うう……ちゅ」


 一方的なその侵入者に、抗う術を持たない愛美。だが暫くすると、俺の舌先にチロチロとした感触が伝わる。

 愛美も舌を動かして、俺を迎え始めていた。

 その反応に背筋をゾクリとさせながら、俺は更に激しく舌を絡めてゆく。


「うぅん……ちゅっ……あぅ……」


 短い声を洩らしつつ、徐々にその息遣いは荒く。互いの顔の角度を変え、長いキスは続いた。

 俺が舌を引き抜くと、それを追うようにして、始めて愛美の舌先が俺の口の内側へと入る。遠慮がちに入口を窺うそれを迎え、俺は愛美の細い舌先を強く吸い上げた。

 倒れ込み抱き合う二人の両足は、まだベッドの外に取り残されたまま。俺はそれをベッドの中央まで、運ぼうと試みて唇を離す。

 そして、俺が下になるように、ゴロリと反転して体勢を入れ替えた。


「あ……」


 期せずして俺の上に、馬乗りになった形の愛美。恥ずかしそうに頬を染め、俺の顔を見下ろしている。その体勢と無防備となった乳房が、彼女を辱めていたようだ。

 重力によって、存在感を増している胸。俺はそれを、まじまじと見上げる。

 大きくはないが、形の整った魅力的なふくらみ。ツンと張り詰めた乳首は、その感度の良さを暗に物語っていた。
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