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曖昧なままに
第4章 飲み潰れた後
 その言葉に従い身体を倒すと、ベッドの柔らかな弾力が俺を包み込む。部屋の中がやけに暑く感じ、俺は最後の気力を用いて上着やズボンを無造作に脱ぎ去る。

 それを終えホッとすると、後は疲れと酔いにまかせ眠るだけだった。

 俺を部屋に送り届け、愛美は帰ったのだろう。この時はそんなことさえ、深く気にする余裕もない。

 そんな俺であるのだから、その先はまるで夢との境の出来事のよう――。


 その始まりは、朦朧とした意識に届いた短い言葉だった。

『お水――どうぞ』

 ん……? 何とか開いた目に、ボンヤリと映った人影。確かに喉の渇きは覚えていた。差し出されたペットボトルを掴もうとするが、焦点が合わずそれを取り損なう。

『しょうがないですね。では――飲ませてあげましょうか?』

 その問いに答えることすら、できないでいる――と、程無くして口が柔らかい何かに塞がれた感触を受ける。

『んっ……』

 そんな吐息が漏れた後、冷たい水が口の中にすうっと流れ込む。喉がごくっと音を鳴らし、それを飲み下した。

『もっと、差し上げます』

 水を口にして微かに戻った意識が、視界の中に捉えたのは――愛美。

 彼女はペットボトルの水を口に含むと、その顔を再び接近。そうして徐に唇を重ねると、先程より多い水を口の中へと一気に注いだ。

 ゴホッ! その勢いに驚き、むせ返る。口から吹き出された水が、顎を伝い首筋や胸元を濡らす。

『あ、ごめんなさい。すぐに拭きますから――』

 そう言いながら、しかし愛美が使ったのはタオルでもティッシュでもない。彼女は自らの舌を用いると、それで濡れた身体を拭い始めた。

 ちゅ……ちゅう……と、そんな音を立てながら――

 両手で顔を支え、口の周囲や顎に吸いつき。それから、首筋に執拗なほど舌を這わせた。それが終わると、今度は――

『シャツも――濡れてますね』

 愛美の細い指により、ボタンが一つ一つ丁寧に外されてゆく。そして胸元が顕わされ、そこにさわっとくすぐったい感覚が奔る。顔を埋めようとしている愛美の髪の毛が、肌の上を優しく撫でた。

『では、続けます』

 愛美はその身体をベッドに横たえ、その行為を再開。舌を鎖骨を滑られると、更に下へ向かわせた。そして――

『ここも――?』

 愛美の濡れた舌が、円を描くように乳首の周囲をするっと撫でる。
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