この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
曖昧なままに
第8章 相和する時
 全く……少し殊勝な様子だったと思えば、今度はこれだ。だから女ってやつは、理解できない。

 そう思う一方で、色香を纏う奈央を前に、妙な気になるのも致し方なかった。

 そうは言っても、流石に時と場所が悪過ぎる。奈央にしても、そのくらいの分別はある筈だ。その上で俺の反応を面白がっているなら、真面に相手をして損をするのはコッチである。

「ハイ――冗談は終わり。もう部屋に戻っても、大丈夫じゃないか」

 俺がそう言うと、奈央は不機嫌そうに眉根を寄せた。

「中崎さんて、固い人ですよねー。私――タイプじゃないですか?」

 そんなことはない――というか、十分に魅力的ですらある。だが今それを口にしても、状況を元に戻すだけだった。

「今は会社の旅行中――それを忘れていないか。こんな処を誰かに見られたら、お互い不味いだろ?」

「また誤魔化しちゃって……本当は、他に理由があるんでしょ?」

「それは――」

 俺がその返答に窮する、そんなタイミングであった。

 コンコン――と不躾なノックに続き、即座にガラッと開かれた引き戸の音。

「オイ、入るぞ」

 との声を耳にして、俺と奈央はハッと顔を見合わせた。それは、柏原課長の声である。

 や、やばいよ……。突然のその襲来に、激しい焦りが俺を襲った。まだ入口と部屋を隔てる戸が残されているが、それも数秒後には開かれてしまう。

 俺は咄嗟に布団を頭から被ると、そのまま押し倒すように奈央の上へ――。


 バサッ――! ガラッ――!


 それとほぼ同時――戸が開くと、柏原課長が顔を覗かせた。

「中崎……一人か?」

「え、ええ……今、寝ようとしてたとこです」

「お前さ――奈央ちゃん、何処にいるか知らない?」

「に、西河さん――ですか? そう言えばさっき……大浴場の前で、見かけたような気も……」

「チッ、何だよ。邪魔したな」

 吐き捨てるように言い、戻ろうとする課長。だが何かを気にするようにして、再度俺の方をまじまじと眺めた。

「中崎――お前」

「な……何か?」

「寝相、悪すぎだろ。布団がぐちゃぐちゃじゃねえか」

 バタン。そう言い残して、課長は部屋を去って行った。

 布団に押し込めた奈央を隠し通し、ホッと胸を撫で下ろす俺。すると――

「――!?」

 首に絡みついた両腕が、俺の頭を布団の中へと引き込んだ。
/177ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ