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第13章 心の中
彼と繋がった日
私は決心した
ベットで彼が私の手を握り
ゆっくりと話す
「ずっとこうなりたかった…
でも美紗を知れば知るほど
純粋で真っ直ぐすぎて俺なんかがって
言い聞かせてたんだ…
旦那が酔っ払ったときの話も本当はめちゃくちゃ
腹が立った…
美紗を泣かせるなら俺が美紗をもらっちまうよ
ってさ…
でも言える立場じゃないことも
俺がそれを言ったら美紗が余計に
苦しむことになるって分かってたから…
俺さ…気付いたんだよ
俺は美紗のことを自分自身と同じくらい
いや、自分よりも大切に思ってるってさ…
自分以外の人間をそんなふうに思ったことが
なかったんだ…俺…
最悪だろ…」
私はゆっくり言葉を探しながら話す彼の手を
両手で包む
お願い…それ以上言わないで…
でも聞きたい…
私はあなたの心の奥底まで知りたい…
それがどんなかたちであったとしても…
「だからどんなかたちでも構わないからって
お互いが傷付かないようにってさ
心のどこかで
線を引きながら会ってたんだ
でも本当は自分でどうしたらいいか
分かんないくらいに美紗に心がひかれててさ…
それを必死に隠してた
美紗みたいな女見たことないんだ
普通の男ならたぶんその美紗が背負ってる
トラウマの十字架に耐えられなくなるだろうな
美紗はそれを痛いほど知っているから話さない
強い女だと最初は思ったけど全く違ってた
話さなくても時々たまらなく悲しそうな
さみしそうな顔をするときがあるんだ
美紗はそれに気が付いてないだろうけどな
俺そのたびに本当の美紗の心の中は
いっぱいいっぱいで苦しんでるんじゃないかって
どうにかしてやりたいって
思ってたんだ…
大丈夫だから
ってお前が笑って言うたび
なんか苦しくてさ…」
私は彼の手を握りしめたまま泣いていた
龍に言われたな…
消えてなくなりそうだって
私はそんなことないって
強がることでしか乗り越えられないと思って
そんなふうに思われる自分が嫌で
強がりや平気なふりをし続けて偽りの自分を
作り上げていた
その偽りの自分がもう辛くて耐えられないと
本当の感情が爆発しそうになると
息苦しくなって
こんなに苦しい思いをするなら
死んだほうがましだと
感じていた
それを誰にも言えなかった