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第13章 心の中
「俺はさ…
結婚するからにはって
散々好き勝手してきたしこのへんで落ち着こうって
腹くくったつもりだったんだけどさ…
相手が違ってた
金、金、金、金言われてさ
コイツは俺じゃなくて俺の金と結婚したんだなってさ
それが段々見えてくるようになってな…
結局みんな金なんだなって
女はみんな同じだって思ってたんだ
でも美紗だけは違ってたんだ
ずっと俺にそう信じさせて夢中にさせてて
ほしいんだ…
俺それが叶うなら我慢だってできちまう…」
彼もきっと誰かを信じたくても
できなかったんだろう
私達がひかれ合ったのは
同じ闇を抱いていたからなのかもしれない
彼は私の闇を明るく照らそうとしてくれている
その明かりで彼の闇も明るくできるだろうか
もっともっと
「恋しい」や「好き」なんかじゃなく
それ以上の温かくて大きな気持ちで
彼と向き合っていきたい
そう思った
彼は会えないときや
性欲がふくらんだときは
自分で処理をしていたと
恥ずかしそうに私に言った
「そこまで言わないで…」
と笑う私に
「だってそこまで言わなきゃ安心できないだろ?」
と彼も笑う
長く話していたせいか
二人でベットに横になり手を繋いでキスをすると
いつの間にか眠っていた
目が覚め
「これじゃ中学生みたいだな!これは純愛だ!」
と彼が笑う
私は純愛でなくてもいい
どんなかたちでも
私はあなたを受け入れることができてしまうよ
と心の中で呟いた
夕方帰り際にいつものようにキスをする
「とりあえず明後日朝会社来てくれる?」
私は笑顔でうなずいて
彼を見送った
自宅に帰ると
夜のアルバイトを辞めたこと
昼間のパートをはじめることを夫に伝える
「そうかわかったよ」
夫はそれだけしか言わなかった
私は詮索されずに済んだことに
ほっとしてしまっていた