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第14章 二年

彼との約束の日
グレーのリクルートスーツを身に付け
高速に乗り30分ほど車を走らせ彼の会社へ向かう

中から彼が出てくると

「ちょっと行かなきゃならないから
中のおじさんに聞いて!」
と飛び出して行った

中へ入ると
中年の男性が笑顔で迎えてくれる

「初めまして!聞いてます!
僕会計してます篠原です
横山さんね!よろしくね」

「あ、はいっよろしくお願い致します」
私が挨拶すると

「社長トラブルみたいでね
戻るまでこれ入力しといてもらっていいかな」

私は言われた通り
入力作業をする

「8時前には従業員は出ちゃうし
夕方は6時すぎくらいにならないと戻らないから
僕くらいとしか顔を合わせないからね…
のんびりやりましょう」

篠原さんが優しく言う

しばらくすると彼が戻って来た

「おじさん!美紗に手出すなよー」
彼が笑いながら言う

「はいはい、分かってますよ!お坊っちゃま!」
篠原さんも笑う

篠原さんは彼の親戚で
教師や経営者をしていたという

「いやぁ病気で働けなくなってね
家でボケる寸前まで綴じ込もってたら
涼太が声かけてくれてね
こいつは小さい頃から色々あったからね…
俺は涼太の味方だから横山さんも仲間だよ」

彼と篠原さんが笑い合う

午前中目一杯仕事をすると
3人で昼食をとる

篠原さんはそのまま帰宅していった

「美紗今日はあと一件回ったら身体空くから
昼寝行こう!」

彼が言った

「でも私…」
戸惑う私に

「どれだけ良い子ちゃんなんだよ
美紗はきっちり与えられた仕事と
自分で見つけて
掃除やら片付けやらしたんだから今日はOK!
おじさんなんて自由出勤で気まぐれ休みだぞ!
でも仕事はきっちりだからそれでいい」

彼が笑いながら私の肩をたたく

「分かりました社長!
気になって仕方ないから流しの所の
掃除だけさせて!お願いします!」

私は掃除をしながら彼を待った

ホテルに入ると彼のあくびが止まらない

「寝不足?」
私が聞くと

「朝早いからな
俺四時とか五時に起きて
美紗に会うまで仕事して帰ってまた仕事してるんだ
寝るのは早いよ
家でやることないし
飯食べて風呂入って寝るだけ」

彼が笑う

私は知らなかった
彼がずっとそんな生活をしていたことを

お店に来てくれていた頃は
眠くて仕方なかっただろう…





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