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第14章 二年

「あの…前回までは突然の容体の変化の際には
電気ショックや人工呼吸器をとのお話でしたが…
今回も引き続きそういうことで宜しいですか?」

と聞かれ
母と
「少し相談させてください」
と伝え
家族室に向かう

「はぁ……」
と母が深いため息をついたあと話はじめた

「煙草も止めてなかったし
相変わらず生活費もくれずにふらふらしてたし…
正直面倒見切れないわ…
助かりたいんだか助かりたくないんだか…」

と疲れはてた顔で言う

「そうだね…
私も正直私のことなんて
お金にしか見えてないんだろうなって
あきれ果ててるよ…」

二人で深いため息をつく

「いつ止まってもおかしくない心臓に
延命処置をしてもらってまで
あの人に生きていて欲しいって心から思う?」
と私が聞くと
母は暫く黙って力なく首を横に振っていた

「もっと早く離婚すればよかったよ…
あの人は死ぬ目にあっても
何一つ変わらなかった…」
母が肩を落とす

私は
「これからはもしもの時には
延命治療はけっこうです…」
と病院に伝えた

自分の中で罪悪感が渦を巻く
いくら最低などうしようもない大嫌いな父でも
そんなことを言ってしまって良いのだろうか…

母と病院から実家に戻ると
その真っ黒な渦に飲み込まれてしまいそうになる

「ちょっと出掛けるね
今日は泊まるからね」
と母に伝え車を走らせた

涙をこらえ
唇を噛み締め
海へ向かった

駐車場に入るとすぐに彼の車を見つける
私は驚いて思わず遠くに車を停めてしまう

すぐに電話が鳴った
彼からだ

「やっばり来たなー
俺お前が病院行ったら必ず何かあって気に病むから
ここに来るか俺に連絡するかどっちかだなってさ
暇だったし昼寝しながら待っててみたんだ
ICUじゃ長い時間居られないしな
早くこっちおいで」

彼が笑いながら言った

涙が溢れてしまって動けなかった
しばらくして彼が窓をノックすると
助手席に私を移動させた

「そんな状態で運転しちゃだめ!
危ないからそんなときは迎えに来てって言うこと!」
彼の左手が私の頭をそっと撫でる

「ん…ごめんね…ありがと
待っててくれて…
会いたかったけどこんな私を見られたくなくて…」
素直な気持ちを伝える

「こんな真っ昼間に大泣きしてたら目立つから
移動するよ」
彼は優しくそう言うと車を走らせた



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