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第14章 二年

いつものホテルに入ると
彼が照明を落とした

「こういう時は明るいの嫌だろ」
そう言ってソファに腰かけると
私の手をそっと引く

隣に座ると私の手をとりそっと包んで
話してごらんと言うように
優しく揺らす

私は深く深呼吸をすると
ぽつりぽつりと話をはじめた

彼は私が全てを話し終えるまで
頷くだけで何も言わなかった

「お前さ…
お前はよくやってるよ
もういつ例えお父さんを見捨ててしまったとしても
誰もお前を責めたりしないよ
でもそれでもって
そう思ってたから不満に思いながらも今まで
してきたんだろ?
正直言ってさ
俺はお前の選択は正しいと思うよ
それを非道だと言うやつもいるかもしれないけど
俺はお前と同じ
それでいいにしたほうがいい」

彼が私を真っ直ぐ見つめて言う

「金のことは心配するな
お前のお父さんが必要としてるのは
自由と金だ
今までそうして生きてきて病気になって
死ぬ思いしても改心しなかったんだから
もう仕方ない
お前ももう腹くくってあきらめろ」

そう言われて気が付いた

私はきっと心のどこかで
いつか変わってくれるのではないかと
死ぬ目にあったのだから
世話をしてくれる母に
私や兄に
夫として家族として父親として
心を入れ替えてくれる時が来るのではないかと
淡い期待をしていたんだろう

でもそれは何一つ変わらなかった

私はその現実にもう耐えられないと思った

「うん…これでいい…
もう…あきらめる…」

淡い期待との決別をしようと
そう思った


泣き疲れ
彼の肩にもたれるといつの間にか眠ってしまっていた
目が覚めるとベットの上だった

「お前軽いなぁ
体重何キロだ?」
隣で横になっていた彼が腕枕に私を誘い
いたずらに笑う

「んー女の子に体重聞かないで…」
寝ぼけ眼で答えると

「もう少し肉付けないと元気も出ないぞ
寿司頼もう!」
そう言って私の身体をくすぐった

いつもこういう時にはまともに食事をとれなくなる
でも彼の隣で食べる食事は
いつも通り美味しくて箸が進む

「ほら!お前の好きなウニといくら
俺のもあげるから笑って!」
彼の言葉に自然と笑顔が溢れる

「大丈夫!
俺と居れば全てうまくいく
そう思って俺についてこい
お前はただいつも笑ってればいい」

彼の言葉に私の真っ黒な渦は
いつの間にか消えてしまっていた



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