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第15章 暗闇と光

目が覚めると私の手を握ったまま
眠っている彼を目にして
心が温かくなる

ごめんね
こんな私で…


こんな私がいいんだって
そう言ってくれてありがとう…

心で囁く

目が覚めた彼は照れくさそうに
私に近付き胸に顔を埋め
私を抱きしめる

ついこの間まで
こんな彼を知ることはなかった

ありのままの私を受け止めてもらいたいと
そう思い
甘えることが自然にできるようになると
少しずつ彼のそんな姿を見られるようになった

「弱さや甘えを女に見せるものじゃないと
プライドみたいなものがそれを拒絶してた
でも美砂には見せても大丈夫なんだなって
そう思えたんだ…
俺生きてて幸せだなってすごい感じるよ…」

そう言ってくれた彼を見て

どこか似た者同士だから
惹かれ合ったのではないかと感じた

私も誰かに甘えることが上手にできなかった
男の人に弱さを見せてしまっては
弱みに付け込まれてしまうのではないかと
夫にさえそう思ってしまっていた

強さの中には弱さの裏返しが隠れている
本当に強い人なんているのだろうか…

ポーカーフェイスで
いつも何事にも動じる様子のない彼が
本当は冷たい人なのかもしれない…
と出会った頃は感じたこともあった

でも目の前に居る彼の姿は
無邪気で繊細で
不器用で
優しさと愛情を注ぎ続けてくれている…

「なぁ…」
私の胸に顔を埋めたまま彼が言う

「ん?」
私が聞くと

「親さえも信用できないって
不安になるだろ?
俺さ…それ以上のなにものにも変えられない
存在に絶対になってみせるからさ…
俺を信じろ…」

彼はそう言って強く私を抱き締めた

私は

「うん…」
とうなずいて
彼の額にキスをした


















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