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第15章 暗闇と光

きっと歩いてきた道程が長く険しくなればなるほど
闇と光は増えていくのだろう

それが闇とも光とも
分からなくなってしまう程に困惑し
絶望してしまえば
そこから抜け出すことは容易ではない

私は自分がどこでどうしていたのかも
分からないほどになっていた

ただとぼとぼと
歩いて行くしかない
終わりの見えない道を進んで来た

まだいくつもの闇が待っているかもしれないと
不安に襲われることもあるけど

きっとなんとかなるよね…

と私自身が思うようにまでなった


実家の解体費用には百五十万円かかった
引っ越しと新しいアパートに五十万近く
貯蓄の残りと兄からの援助と
そして彼が手を差し伸べてくれた

夫には
実家の解体と家の側で両親が暮らすことを伝え
その為に貯蓄がほとんどないことを伝えた

「そうか…
この先は大丈夫なの?」
と心配していた

私は大丈夫と伝え
それ以上は何も話せなかった

父が退院できないため母だけが
先に引っ越しをした
解体工事の前日私は一人実家に向かった

家の中を見渡し
床に座り目を閉じた

良い思い出なんてなにひとつない
この広いだけの家に未練はない

ただ懐かしい気持ちを感じていた

この家とさよならして
過去の私にもさよならを言いたかった

二週間で工事は完了し
それからしばらくして父は退院した

退院の際複数の先生や看護師さんに母と呼ばれ
話をした

「おそらく…
認知症の疑いがあるかと…
脳外科に行って診察を受けてきてください…」

そう言われ

曜日や日にちの感覚が喪失しはじめていることや
話をしても
咬み合うことができない時があると説明された

その話をする中
まるで他人事のような顔で
父は空をぼんやり見つめていた

私は嫌な予感がした

退院の手続きを済ませ
お寿司が食べたいと言う父を
お寿司屋さんに連れて行き昼食を済ませる

お箸を片手に子供のような笑顔を浮かべ
旨い不味いもなく
ただひたすらにもくもくと食事を運ぶ
その姿に奇妙な感じを抱く

「お母さん…
これは本当に認知症かもしれないよ…」
私は母にそっと耳打ちをした

そして私の不安は的中する…











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