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35
第16章 35
「俺は馬鹿正直だし女心もよく分からないから
なにかやらかしたのかって
美沙があのままいなくなっちまうのかって
夜になってもダメでさ…
ごめん…」
そう言ったあとに
私の手を握ると
「不安なことを言ってみて
ちゃんと解消するようにするからさ」
そう言って私の手をそっと揺らす
「うん…
私ね…
エッチするたび自分が自分で
なくなってくみたいで…
それに…はじめてを全部あげたいって
そう思ってるのに
昨日…何か大切なものを失ってしまったような
変な気持ちになっちゃって……
もしかしたら…」
話ながら涙ぐんでしまう私の
手を強く握ると彼が言う
「美沙…失ってないよ
反対だよ…
もしかしたら……
身体だけの関係に…
だろ?
美沙の思うことが今よく分かった…
俺は変わらない
してもしなくても
美沙が変わらない限り俺も変わらない
美沙とのはじめてが増える度に
俺はもっとお前を大切にしなくちゃって
そう思ってるよ…
美沙の不安は俺の不安で
美沙の幸せは俺の幸せだよ…」
彼は私をじっと見つめたまま
そう言った
「うん…ごめんね
でも……
ごめんね……怖くて…」
それしか伝えられない私に彼は
「不安になったらそうだって言って
怖いときはそう言って
理由が分からないと俺も不安になって
そこから気持ちがすれ違ってくると
思うんだ
俺はとことんまでお前と一緒だって
思ってるから安心しろ…」
彼の言葉に胸につかえていた何かが
薄れていくのが分かる
しばらく話をすると
「今日はドライブ!」
そう言って彼が車を走らせた
着いた先は私の大好きな水族館だった
「あ…」
私がそれに気付いて驚いていると
「これで機嫌をどうか!姫!」
彼が無邪気に笑う
私もつられて笑顔になって
二人で笑い合いながら
水族館へと向かった
夕方までふざけ合い
笑い合い
手を繋いで遊んだ
「美沙…観覧車行こう」
彼が私の手をひく
空が綺麗な淡いオレンジ色の夕焼けに染まるのを
見つめながら
観覧車へと足を運んだ