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第16章 35

「明日…朝家にいるように
お父さんに伝えてくれる?」
私は母に伝え
高速に乗り会社へ向かった

誰もいない静まりかえった事務所で
黙々と仕事をし
掃除をした

考えたくない

考えないように

でももし…

ふとそう考えた瞬間に
不安と怒りと悲しみと
戸惑いと…
真っ黒な渦に飲み込まれそうになる

彼から電話が鳴る

「夕方まで戻れないかもしれないから
終わったら早めに帰ってもいいよ」

彼の言葉に

「うん、分かったよ…
ちょっと…お父さんのことで…
話して来たいから終わったら帰るね」
そう伝え電話を切った

夫に電話をし
夕方父と話をするから
帰りが遅くなると伝えた

「そっか……
分かったよ……」
夫の不満そうな声にも
もやもやとしてしまう

夕方両親のアパートに着くと
まだ父は戻っていなかった

母がぽつりぽつりと話す

「美沙には言いたくなかったんだけどね…
ごめんね…
私も自分の年金だけでお父さんと食べていくのは
本当に厳しくてね…
お父さんに言っても聞いてくれないし…
また督促状みたいのが…」

「え?督促状?」

母は郵便物にそれらしきものを見つけたが
封は切ってしまうと父が怒るので
確かめてはいないと言った

「金額は知らないけど
土地のお金あるはずでしょう?」

母の言葉に
頭が真っ白になる

父が何も知らず帰宅をする

「おぉ!来てたのか!
俺は疲れたから風呂入って寝るよ
飯用意してくれ」

父のその言葉に私は思わず
声を荒らげてしまう

「飯用意してくれって…
生活費お母さんに渡してないのによく言うよ」

私の言葉に父が

「いや…渡してないわけじゃないよ…
なぁ?…電気代だって俺が出してるし」

母に助けを求めるようにしたあとに
少し機嫌を悪くしたように父が言い放った

「光熱費出すのは当たり前でしょ…
そしたら食費は出さなくていいの?
お父さんお金あるでしょ?」

詰め寄る私に
言い訳すらしてくれなかった

「お金…ないの?」
私が聞くと父は下を向いたまま
こくりとうなずいた

「嘘でしょ?
あんな大金…
まだ通院だって入院もあるかもしれないし
その為にって言ってたのに…」

身体がガタガタと震えていた
怒りと悲しみと憎しみに
飲み込まれてしまいそうだった







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