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第16章 35

父は黙ったままだった

私はこのままの状態の自分自身でいることに
恐怖を感じ
母に
「コンビニに行ってくるよ…」
と伝え車に向かった

運転席に座りエンジンをかけると
ハンドルに突っ伏して泣き叫んでいた

「うぁぁぁぁぁぁ
もう嫌だ……あぁぁぁぁぁぁ」
父を殺めてしまいたいと
できれば手を下すことなく
消えてくれないかと
父に怒鳴られ殴られていた頃の
私が自分自身を支配する

息苦しさに耐えられず
窓を開け深呼吸をするけど
おさまらない

冷や汗が全身をぐっしょりと濡らし
顔は火照り
手足が冷たく小刻みに震えている
気分が悪くこみ上げるそれに耐えられず
ドアを開けそのままもどしてしまう

「はぁはぁはぁはぁ」
呼吸がどんどん浅く早くなり
頭がぼーっとして
とてつもなく苦しい

「たすけ…て…だれか…」
私はシートを倒し身体を丸めて横になる

耳が過敏になり
無音のはずの車内に
「サーー…」と
小さなノイズのような音が聞こえるような気がして
気持ちが悪い

嫌だ…

絶対に嫌だ…

負けたくない…

目を閉じてしまうと
死んでしまうのではないかと
気絶してしまうのではないかと
怖くて必死に目を開ける

突然携帯が鳴った
夫からの着信だった

こんな状態で話せない

話したくない…

私は電話にでることができなかった

着信音が止まり再び
電話が鳴る
ワンコールで切れる…

「涼……」
それだけで涼と分かる

私は涼の声が聞きたくて
電話を握り締め
必死に呼吸を整える

発信ボタンを押すと
直後に涼の声がする

「美沙?…大丈夫だったのか?
お父さん…」
電話を持つ手が震え
とてつもなく重たくて
電話を落としてしまう

「美沙?美沙?」
涼が呼んでる…
話さなきゃ

私は横になったまま耳のすぐそばに電話を置き
話をする

「あの…ハァハァ……涼…ハァハァ
ごめん……ハァハァ」
苦しくて話すことができない

「美沙…どこだ?俺が行くまで待ってられるか?
30分で行く」

彼の言葉に安心したせいか
少しだけ呼吸が楽になった気がする

「ん…でもまだ話が…終わってないの…」
そう言った私に

「馬鹿野郎!お前そんなになって話なんて
できないだろ?
旦那に来てもらうほうが早いなら
頼んで来てもらえ」
彼が言う

「ごめん…
私…涼がいい…涼が…涼…会いたいよ」



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