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第16章 35

「美沙…美沙…」
彼に揺すられ目が覚めるとベッドの上だった

「すごい寝たな…
俺といるといつか眠り姫になっちゃうぞ!」
彼が笑う

「美沙…今日なんの日だ?」
突然聞かれ
何も浮かばずきょとんとしていると

「なんだ?鯖読みたくて忘れたふりか?
美沙は35歳になったんだぞ!」
彼に言われてはっとした

「あ…私誕生日…」

「そうだよ
今日は美沙が産まれた日!
とにかくめでたい日だ!
俺はどこの誰よりも感謝してるぞ!
産まれてきてくれてありがとうだ!」

彼は私を痛いほど抱きしめ
顔を寄せる

「涼…子供みたい…」
私は思わず吹き出してしまう

「とにかく後で支度して会社な!
仕事午前中に目一杯やって午後は二人で
お誕生会!
あっ…
その時にさ…これな…」

彼が小さな箱を私に渡す

「え?プレゼント?
今くれちゃうの?」
驚く私に彼は

「お前には飼い主様の首輪が必要だ
もう野良じゃない…
なぁんてな…
ただ俺が今つけてやりたくなったんだ
おいで…」

箱を開けるとそこには
キラキラと光る
2つの十字架のついたネックレスが
入っていた

「これ高かったでしょ?
一人で買いに行ったの?」

「もちろん!
俺が一人で恥ずかしさに耐えて
選んで買ってきたんだぞ!
これも俺の生まれてはじめてだよ
美沙…
過去もきつい現状も全部少しずつ
一緒に乗り越えて
美沙の人生が最後本当に幸せだったって
心から言えるような人生にしよう
もう真っ黒な重たい十字架なんかいらないだろ?
俺の十字架も一緒だよ
美沙をこんなに俺の…
愛おしくてたまらない最高の女にしてくれた
キラキラの十字架だ…」

彼が私に
「髪をどけて」

優しく言って
そのネックレスをつけてくれた

「ありがとう…大丈夫
もう大丈夫だよ」


私は彼に抱きついて
何度も何度もキスを重ねた






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