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第16章 35

「俺にはもうきっと後はない…
頼りなくてずるくて…
情けない男だ
頼る身内もいない…
美沙をどうにかしたいって思ってたけど
美沙の背負っていたものが多すぎて
大きくて…
俺は黙って仕事をすることしかできなかった
ごめんな…
美沙に…
美沙がここを出て行っても宛があって
それで幸せになれるなら
仕方ない
ただ…分からないなら
分かるまでは一緒にいて欲しいんだ…」

夫は泣いていた

弱くて
ずるくて
優しくて
不器用で

私も同じ

今ここを出ていく覚悟も
夫にそれならば…
と言うことも
できない

それは
夫婦だったから?
家族だったから?
夫の弱々しい部分を見ているから?

私は夫に言った

「ごめんね…
私も…言わずにいたことがたくさんあるから
…ごめんなさい…
でもずるいって分かってるけど
今は…
ここにいたい…」

「…籍は…どうする?」
と聞かれ

「少しだけ考えさせて」
とお願いした

朝方一緒にベッドに入ると
夫が腕枕をする


こんなに一緒に過ごした夫のそれが
懐かしく
どこか違和感を覚えてしまう

私は目を閉じて
眠ろうとしたけれど
眠りにつくことができなかった


夫が朝食を食べながら言った

「俺さ…きっとおかしいんだ…
おかしくなったのかな…
美沙がどんなに変わったとしても
ここでこうしてくれてたら
それだけでいいんだ…
一人にしないでくれ…」

私は
「分かったから…」
と夫を見送り

家事を済ませて
仕事へ向かった

どうしたらいいんだろう…

彼には言うべきか…

あまりにも突然のことに

分からなくなってしまう

考えても考えても
分からないまま

私はあっという間に
いつものように半日を過ごしてしまっていた





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