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第16章 35

それからしばらくして
私は夫と離婚をした

夫はその場所に残り
私は両親の家のそばに
部屋を借りた

夫との連絡は途絶えることはなく
時々食事に行ったり
お互いいろんな話ができるように
なっていた

父親のお金の件は
生活費をこちらが手助けしながら
自分の年金からローンを返済をし
生活費を入れると約束をした

それでも…と
父親の通帳の管理を母に頼まれ
母と共にこれからも暮らすつもりなら
何十年とずっと渡して来なかった
生活費を出さなければ
出て行ってもらうと
そこまで言わなければ聞き入れてもらえなかった

通帳には年金が入ると
半分はローンの返済に自動的に引き落とされ
通院と薬代とその他の支払いで
のこるのは微々たるものだった

私はその残りのお金を母に渡し
生活費にあてるようにした


父親の病状は見た目では穏やかながらも
確実に進行していた
日中は食事以外寝ている時間がほとんどで
テレビにも新聞にも興味を示さず
食べること以外の欲求を失くしたように見えた

お風呂も着替えも嫌がり
「面倒だから」

何もしたがらない


「美沙に車も通帳も取り上げられたから
俺には何も楽しみがない」
そういつも母に愚痴ばかり言うようになっていた

「楽しみが失くなったわけじゃないよ…
散々好き勝手してきたんだからあの人は…
夜2時間もたたないうちに繰り返し起きては
冷蔵庫や戸棚の食べ物を食べ尽くしちゃうし…」

母が疲れた顔で訴える

私も同じ気持ちだった
誰に咎められることもなく
お金の始末は誰かに泣きつき
友達という友達もいない
後先考えずただ自分の私欲に任せ散財し
年金を担保に借金を重ね
父親自身が自ら歩いてきた人生の
当然の末路だろうと
そうとしか思えなかった

海外の兄にお墓のことや
これから先両親のことを
どう考えているのかたずねると

「俺はいつ戻れるか分からないし
施設に入れるっていってもお金がな…
誰か親父の兄弟や親戚に頼めないのか?」
と答える

「お兄ちゃん…
匙を投げたいのは分かるけどね…
一応親なんだし…
親戚づきあいなんてないんだから
無理な話だよ…
お兄ちゃんも離婚して独り身になってるわけだし…」
そう言った私に

「とにかく来年そっちに一時帰国したときにでも
ゆっくり話そう…」
とだけ言った

























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