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35
第16章 35
私は心にモヤモヤしたことが残っていると
彼との行為に溺れることで
自分自身を慰めることしかできなくなっていた
毎日一緒にいても
何日もしない日もあれば
日に二度も三度も彼を求めてしまう
満たされていないわけではないのに
繋がっていることへの安心感と
クタクタに疲れ果て
眠りにつき
空腹を感じ食事をとる
そうすることで自分を保っていた
眠れない夜が一番苦手だ
考えないようにと一日過ごし
どうにか眠りにつかなければと
思えば思うほど眠れない
睡眠不足が続くと
たちまち捉え方や思考もネガティブになり
保ってきた自分がボロボロと
音をたてこわれてしまいそうな恐怖感を感じる
別れた夫に
長電話やファミレスでお茶を飲み
話をして紛らわせてもらう夜もあった
「いつも…ごめんね…
私は勝手だよね…もう止めないとね…」
「どうせ俺は暇だしな…
美沙が一人で辛いときは
このくらいしてやりたいんだよ…」
私はその言葉に甘えた
彼にも甘え
別れた夫にも甘え
自己嫌悪に飲み込まれそうになりながらも
それを止めることができなかった
35年間一度も及んだことのない
自慰行為にも目覚めた
モヤモヤと眠れない夜
彼とのそれを思い出すと
我慢ができない時があった
彼の手を
指を
舌を
声を
彼の全てを思い出し目を閉じ
潤ったあそこに触れ
クリトリスを刺激する
胸に手を這わせ
やがて彼が果てるまでを
思い出し
あそこを刺激し続けると果ててしまう
それだけでは満たされない何かと
疲れてぼーっとした心地良さを
感じながら
横たわっていると
いつの間にか眠りに堕ちる
私はその秘密の行為を
覚えた…
「美沙は一人でしないの?」
彼に聞かれ
「一人でいてもそういう気持ちにはならないよ…」
と
ずっと前に聞かれそう答えていた
自分がここまで変化してしまうとは
少しも思ってもいなかった