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第16章 35

彼に出逢って
強くなれた自分と
極端に酷く弱く脆くなってしまった一部分を
強く感じている

彼が居てくれさえすれば
それでいいと

それだけでいいと
そう思ってしまう

それが良いこととは
言えないことかもしれないけど

今までの私のままでは
乗り越えられなかったであろう私を
彼が支えてくれていた

一人の夜を
誰かを待つことを
幼い頃の私が
いつまでもいつまでも心のどこかで避けていた

待っていても
満たされなかった何かが
私をそうしたのだろう

「もう俺が小さい頃から家は…家族は…
壊れてたんだ…」
兄が言っていた

「家に帰らない生活費もくれない
それでいて女といた親父にお袋がさ…
もう生きて行くことが辛いから
この家に火をつけて
子供と死んでやるって叫んでたんだ…
俺と美沙は殺されるのかって怖くてな…
2階でまだ小さかった美沙を
連れて逃げられるようにって一晩中眠れなくてさ…」

「その後何度もお袋が帰って来なかったり
暫く美沙と俺が二人きりだったりなんてことが
多くてさ…
就職して貯金しておいてやるから仕送りしろって
3年間入れてた金は全部親父が使ってたし
会社のお金が足りないって何度も貸したしな…」

「それに親父のあの性格だろ?
怒鳴られるのが殴られるのが嫌だから
皆何も言えなかったんだ…
お袋が離婚したいっていつも言ってたけど
なぜか結局家に戻ってたからな…
はっきり言って俺と美沙はそれにずっと
振り回されてたんだ…」


私の記憶にない幼い頃の話を聞いたとき
兄も母もきっと私も…
父親のせいで壊れてしまったんだろうと
なぜそんな状態の中私を産んでしまったんだと
私は何の為に生まれてきたのかと
そんな気持ちになってしまう

母がどこかいつもぼーっとしているような
私に関心がないように感じていたのは
そのせいだったのだろう

壊れた状態のまま家族ごっこのようなものを
続け
さらに父親の病気やこれから先のことで
皆の心が揺れる

この悪循環をどうにか止めなければと
そのことばかりに追われていた

家中のものを食べ尽くし
「俺には何も楽しみがない」
と母に当たる日が多くなっていた

母の愚痴を溢すひどく疲れ果てた姿に
今の状態を続けることに限界を感じていた




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