この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
35
第4章 依存

「美紗…
お母さん少しの間帰って来れないんだって
お父さんも今日は帰れないかもって
お兄ちゃん今からバイトに行かなきゃいけないんだ
帰るまで一人でいられるか?」

兄が私に言った

私はうなずき
兄にもらったお金で近所のスーパーで
お菓子を買ったけど食べなかった

夜になり家の中に一人でいるのが怖くて
部屋中の電気をつけて回った
風の音が不安を煽るので
テレビを大音量にした

「あっ、プール」

私は明日のプールの支度ができていないことを
思い出し
押し入れの中から水着や帽子を探した

そしてソファーでぼんやりテレビを見ていた

私はさみしいという感情をよく知らなかった
その気持ちを知るより早く
一人でいる時間が多かったせいか
それが普通で当たり前だと思っていた

幼稚園に行くときは
母はもう仕事に出掛けて一人なので
時計を見て8時15分になると鍵をかけて
一人で家を出た
集団登園で近所の集合場所まで行くと
みんながお母さんと一緒だった
帰りもその場所までお迎えに来ていたけど
私はいつも一人だった

帰宅すると
テーブルに置かれた小銭で
駄菓子屋でおやつを買った

私はあまり空腹を感じない子供だった
食べることがあまり好きではなかったらしく
食べさせることに母は苦労していた
朝食もとらず
幼稚園の給食も残し
夕飯も仕方なく食べていた

だからおやつもいらなかったけど

「何も食べてなかったの?」
と驚く母になんだか申し訳ない気がして
なんとなくおやつを買って
食べたり捨てたりしていた

友達の家に遊びに行ったとき
当たり前にお母さんがいて
手作りのおやつが出てきたり
兄弟や家族で団らんする場面を見て驚いた

みんなそうなんだろうか…
家だけなのかな…

そんなことを考えていた

土曜や日曜も母と二人か一人が多く
他の友達の家は家族で出掛けたりするもの
と知って疎外感のようなものを感じてしまっていた

だからさみしい
とは思わなかった

家は違うんだから仕方がないと
言い聞かせていた

兄が帰るまでの数時間が長くて長くて
もしかしたら兄も帰って来ないのでは
と不安になって泣いていた

兄が帰るとバイト先から持ち帰ってきてくれた
ハンバーガーやポテトを食べた
生まれてはじめて食べたそれらは
なんだかしょっぱくて苦手な味だった


/202ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ