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第4章 依存
病院から帰ると彼が私に泣きながら謝った
私は
「もういいよ…
でも二度としないで欲しい」
とだけ言ってベッドに入った
幼い頃や学校に通っていた頃の私と
今と
どちらが辛いか
辛くないか
実家にいた頃の私と
今と
どちらがさみしいか
さみしくないか
いつも迷ったとき
そんな風に天秤にかけていた
答えは
今の私のほうが少しは良いって
そう思ってた
父に怒鳴られ殴られていた頃より
母の愚痴ばかり聞いていた頃より
はじめてのあの夜より
彼に殴られても
信じてもらえなくても
彼が私を必要としてくれているのなら
私はそれだけで良かった
冷静な判断ができないくらい
彼と私は互いに依存しあってしまっていた
何度も同じことで言い合いになり
殴られて
怒鳴られても
彼を受け入れていた
彼は私にひとしきり感情をぶつけた後は
優しく私を抱く
身体中にキスをして
私が果てるまで舐め回し
私の中を味わった
私はそれで良いと
それだけで良いと思っていた
彼は心の弱い人だった
受けてしまった彼女からの裏切りに
耐えられず
心が壊れてしまっていた
私はその彼女と違うと分かっていながら
不安に押し潰され
自分がコントロールできなくなって
感情が爆発してしまう
純粋な人なんだと思った
父の家族への裏切りや
母からの言葉
はじめての夜
私はあの頃から何も信じるものがなかったから
はじめから傷つくことがなくなった
あきらめることばかり覚えていたから
感情が爆発することもなかった
彼をどうにかしてあげたいと
自分のことより
そればかり考えていた
私は自分自身が壊れてしまっていることに
気付かなかった
ある日久しぶりに会った友達が私に言った
「大丈夫?痩せちゃったし
なんか疲れてるみたいだし」
感覚が麻痺してしまっていた私は
それが普通のことではないと気付かずに
世間話をするように
彼との生活を話していた
「それ、ヤバイよ
美紗今すぐ別れたほうがいいって」
心配そうに言う友達に私は
「うん、分かってるよ
でも彼は私がいないとダメだって…」
言いかけた私に
「好きだったら…
本当に大切だったら
普通は暴力振るったりしないんだよ!
しっかりしてよ!」
友達は泣いていた