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第17章 私の道
私はその大きな「幸福の木」を
眺めながら仕事をした
「すげ〜の来たな!
俺興味ないけどなんか癒やされる」
彼がデスクに頬杖をついて言う
「美沙!今夜は?」
彼に聞かれ
龍と祐さんに食事に誘われていることを
伝える
彼は少し黙ると
「じゃぁ0時には俺のとこ帰って来いよ」
そう言って笑った
龍は何度か連絡をくれていたと聞いた
私が謙さんを思い出すのではと
私に伝えることができなかったと
祐さんに後から聞いた
「龍がな…俺と美沙とご飯行こうってさ!
美沙が問題なければ謙さんも…って」
その言葉にうなずくことができなかった
謙さんに会うことが怖いと思ってしまった
会わないままのほうが良いと
そう思ってしまう
「お〜何年ぶり?
まさか離婚してるとはなぁ…
それでいてまだ仲がいいとはまた…」
少し角がとれて穏やかな顔つきになった
龍が笑っていた
「美沙…お前いい女になったなぁ!
艶々だぞ!」
龍が私をからかう
食事はあの料亭だった
懐かしくて
少し切ない気分になる
「謙さんが来たかったってさ…
美沙に会いたかったって」
龍に言われ
黙ってしまう
「まぁまぁ!美沙のバースデーイブなんだから!」
祐さんがすかさず話をそらす
龍は結婚して3人の子をもつパパになっていた
建設関係の会社を経営し
忙しく日々を過ごしていたと聞く
「美沙は絶対に男がいるよな…」
龍の言葉に
「俺もそう思うんだけど絶対に吐かないんだよ…
なんか訳ありなのか?」
と祐さんが私を見る
「あぁ…美沙…
お前幸せか?大丈夫なのか?」
そう言って龍が私の顔をのぞく
「二人とも保護者みたい…
大丈夫だよ!幸せ
今までで一番幸せだよ」
私はそれだけ言って笑った
「本当かぁ?全く幾つになっても
おじさん美沙が心配だ」
龍が笑って祐さんも笑う
「私ね…多分大人になったんだ
今までとは違う自分がたくさんいるよ
結構しっかりしたと思うよ!
今の自分が一番好きだしね」
その言葉に
龍と祐さんは安心したように微笑む
「龍がいてくれて…謙さんがいてくれて
祐さんがいてくれて…
だからあの頃の私は
道を誤らずに居られたんだなぁって
本当に感謝してるよ」
素直な気持ちを伝える