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第17章 私の道
私は彼の待つ
海の見える駐車場へと向かった
車を停め
彼の車ヘ向かうと
運転席に座ったまま
シートに身体を預け彼が眠っていた
「かわい…」
私はしばらくそれを眺め
窓をそっとノックした
目を開けた彼は
私の顔を見ると寝ぼけ眼で微笑んだ
助手席に座り
車を走り出そうとする彼に
「待って!今起きたばっかりだから
危ないよ…」
手を止めた私を見つめて
「早く抱きたいんだ…」
彼がそう言った
私は彼の頬にそっとキスをして
「分かったから…コーヒー買ってくるから
待っててね…」
そう言って車を降り自動販売機へ向った
「んー」
追いかけてきた彼が私の手を握って
駄々をこねるように揺らす
「大丈夫大丈夫!私はどこにも逃げないから」
そう言って彼に寄り添った
出逢った時から変わらない
彼はお砂糖とミルクの入った甘めのコーヒー
私はブラック
車に戻ると乾杯をして口をつけた
「どうだった?逆ハーレムご飯」
彼が私の肩をつついて笑う
「ハーレムではないよ
懐かしい人達…ただそれだけ…
思い出話と現状報告して…
あぁ早く涼に会いたいなぁって考えたよ…」
私は彼の手を握って話す
「俺さ…今だに焼きもちやき…
お前を誰にも見られたくないわ
ふっ…笑っちゃうよな」
彼がそう言って笑う
「分かってるよ…
だからずっと涼だけ…ずっとね…」
彼の手を握り締めると
車が走り出した
「美沙の好きな部屋とってあるから行こう」
そう言って彼が私の膝に
小さな箱を置いた
「あっ!やったやった!嬉しい開けていい?」
彼がうなずき笑う横顔を見ながら
箱を開けた
そこには指輪があった
「どの指に入るでしょうか!」
彼に言われ右手の小指に指を通そうとすると
「お前なー本当天然だな!天然!」
そう言って信号待ちで車が停まると
私の左手をとり
薬指に指輪を通してくれた
私は嬉しくて
なんだか少し照れくさくて
「ありがとう」
と言ったまま
膝に置いたその左手をずっと眺めていた…