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第17章 私の道
私はその温かく
優しいその腕に包まれ身体をぴたりと寄せたまま
眠りについてしまう
朝方目が覚め
隣に眠る彼を見つめながら
あぁ…幸せだな…
と改めてそう思う
「んん…美沙のハンバーグ食いたい…」
目が覚め
彼が私を抱きしめたまま呟く
「ふふ…
じゃあ今日の夕飯はそうしようね」
私は彼の額にキスをする
出逢った頃は
家庭的な女性は苦手だと
母親のように思えて女を感じなくなると
良く彼は言っていた
外食と惣菜の食事を繰り返す彼の身体が
心配だった
「これ美味くない…」
いつか食事に行ったお店のハンバーグが
口に合わず箸を置いた彼に
「今度私の作ったの食べてみる?」
と私の部屋で手作りの食事を食べたときから
彼からのリクエストが時々ある
「嘘だ〜こんなの店で出るヤツじゃん
お前すごいな!」
煮込みハンバーグと
彼の好きなゆで卵のサラダ
スープを並べバターライスを盛り付けると
彼が目を丸くして驚いていた
「美味い美味い!」
と全てをあっという間に平らげ
おかわりをする彼を見て私は微笑んでいた
「俺…
母親の料理があんまり美味くなかったからなぁ…
アイツは冷凍か惣菜だけだったし
今は外食だけでいいやって
思ってたけど違うな
美沙の飯は美味い…なんか優しい味がする…」
彼はそう言って
私の膝枕で笑っていた
野菜が苦手だと
いつも付け合せもほとんど摂らなかった彼に
「俺はこれからずっと
美沙と生きていくって決めてるんだ…」
と話してくれた時に
「じゃあお野菜も食べないと!
病気になったら困るもんね」
そう話してから
少しずつ彼の食事が変わっていった
「舌が肥えた!どうしてくれる!
惣菜より美沙のご飯!」
そう言って彼が笑う