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第5章 救いの手
「どこか行きたいとこある?」
と聞かれ何も浮かばなかったのて
「デートで行くみたいなとこが良いです」
と思わず言ってしまった
同棲してたとき
彼が変わってしまうまでは
色んなところに連れて行ってもらっていた
徐々に私は外に出掛けられなくなり
外の空気が新鮮に感じていた
「遊園地行くか!」
車で走りながら謙さんの仕事のこと
笑い話
色んな話をした
並んで歩くと
身長差が大きくてびっくりした
「美紗ちゃん何センチ?」
「147cm…」
「40!40cmも違うよ小人だな小人!
人混みで見えなくなっちゃうから
パパと手を繋ぎなさい」
謙さんが笑って私の手を握った
「パパなんて歳じゃないですよ」
「いや、二十歳でできてたとしたらあり得る」
私は謙さんが40歳になることに
びっくりした
「でもパパなんかと全然違うから…」
私がうつむくと
「パパでもおっさんでもお兄さんでも恋人でも
なんにでもなってやるから大丈夫だよ」
と謙さんが笑った
ジェットコースターに乗って大声を出して
お化け屋敷で怖くて泣いた
二人とも子供みたいにはしゃいで遊んだ
暗くなって
最後は観覧車に乗ろうと言われた
私は少し迷ったけど乗ることにした
ゆっくりと少しずつ上がる観覧車に
私は怖くて景色を見ることもできなくて
息苦しい気がして
「寒くなっちゃうかもしれないけど
窓開けていいですか?」
と聞いて窓を少し開けて目を閉じて深呼吸した
「大丈夫?」
「はい…ごめんなさい」
「謝らないでいいから
大丈夫?怖い?」
私は正直に
狭い空間にいると苦しい気がして
落ち着かなくて窓を開けたくなることを伝えた
謙さんがうん、うんと優しい笑顔でうなずくと
黙ったまま両手を広げて
私においでとしていた
私は吸い込まれるように
ゆっくり立ち上がって謙さんの両手の中におさまった
「抱っこしてあげるよ」
かがんで立ったままの状態の私を
ひょいっと膝の上に乗せた
「怖くないよ、大丈夫
俺がいるよ
俺の呼吸に合わせて息してごらん」
謙さんの呼吸に合わせて私は何度も呼吸する
しばらくすると息苦しい感じが楽になった
「あっち見てごらんキレイだね」
謙さんの言ったほうを見ると
キラキラと夜景が広がっていた