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第6章 不思議な契約
「あっ、寒いですよねごめんなさい」
私は慌てて窓を閉めようとすると
「いいよ、大丈夫だよ
さっきの観覧車の…で身体が熱いから…」
と謙さんが照れながら笑った
私ははじめてのときの話をしたほうが良いかなと
迷っていたけど
謙さんは
「みんな色々あるしさ、言いにくいと思ったことは
無理に話さなくて大丈夫だから
話をしたくなったらいつでも聞くし」
そう言って謙さんが私の右手をそっと握った
私はなんだか安心したような気持ちになって
謙さんの手を握りかえしていた
「あの…
私…さっきの…キスの…」
謙さんの大きな手に包まれていたら
温かくて心地良い感じと
さっきの観覧車でのキスを思い出してしまって
思わず口に出してしまう
「ん?
言いにくい?
じゃぁ先に俺が言ってもいいかな」
私がうなずくと
「今夜は美紗ちゃんの部屋に泊まっていいかな」
謙さんが言った
私は
「はい…」
と答えた
なんだか恥ずかしくて
謙さんもそうだったのか
車の中では笑い話ばかりしていた
それから
「仕事のことだけど
明日から俺の店を一緒にまわって手伝って欲しいんだ
いいかな」
と謙さんが言った
私は良く理解できなかったけど
また謙さんと一緒にいられると思うと
なんだか嬉しかった
そして
「美紗ちゃんはお酒苦手だろ
食前酒で真っ赤になってた、どうしても女の子にも
一緒に飲んで欲しいお客さんが多いんだ
美紗ちゃんじゃきついかなと思ってさ
マッサージ店も風俗店もグループにはあるんだけど
美紗ちゃんのこと、いつも側に置いておきたいって
俺のワガママなんだけどな
とりあえずは各店舗でこっち側の仕事を
覚えてもらいたいんだ、いいかな」
と私の手を握ったまま言った
「あの…はい、よろしくお願いします」
私は助手席で頭を下げた
「あははは、気に入られて店で働かなくて済んで
ラッキー!くらいに思ってればいいんだって
美紗ちゃんの運が良かったってことだよ」
と謙さんが笑っていた
部屋に着くまで
経営側の人は全員男性だということ
そこに女性の私が入ることが初めてだということ
お店の女の子達の反応や
スタッフの反応
謙さんも見当がつかないけどずっと試みてみたいと
思っていたことだと
話をしてくれた