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第6章 不思議な契約
マンションの駐車場に着くと
急に謙さんが真面目な顔で
私を真っ直ぐ見て言った
「まだ別れたばっかりで
傷も癒えてないとは思うんだけど
俺と付き合って欲しいんだ
遊園地で言ったお父さんでもおっさんでも
お兄さんでも恋人でも
なんでもいいから
付き合って欲しい
俺は結婚もしてるし
美紗ちゃんにとっては
あまり良い話じゃないかもしれないんだけど
店のスタッフが美紗ちゃんに手を出しても正直嫌だし
できればどんな捉え方でも構わないから
俺の女として一緒にいて欲しいんだ
美紗ちゃんにきちんと好きな人ができたり
一緒にいるのが無理だと思ったら
言ってくれれば良いから…
勝手なことばかりでごめんな
でもどうしても美紗ちゃんといたいんだ」
謙さんが少し悲しそうな顔をしていた
その横顔にたまらなくドキドキした
心の隙間を埋めたいのかな…
謙さんにもきっと色々あるんだろうな…
こんなに誰かともっと一緒にいたいと
素直に思ったのはすごく久しぶりのような気がする
ただ謙さんと一緒にいたいと思った
自分の気持ちを大事にしてみようと
笑顔でうなずいていた
手を繋いでエレベーターに乗ると
胸がドキドキしていた
これからどうなってしまうんだろうと
少し不安もあった
でも謙さんが
「大丈夫、俺のこと信用してみて
まだ難しいと思うけど俺は
どんな美紗ちゃんでも大切にするから
俺は見た目はこんなだけど
店の女の子に手を出したこともないし
仕事一筋だったから
結婚してから浮気もしたことないんだ
でも美紗ちゃんに会って数時間後には
こうなりたいって思ってる自分がいて
びっくりしたんだ」
謙さんがあまりにも
私を真っ直ぐ見て話すせいか
素直にその言葉を受け入れていた
部屋の前で立ち止まっていると
「もう美紗ちゃん家なんだから早く開けて開けて!」
と謙さんが言った
私は慌てて鍵を探した