この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
35
第7章 生きるということ


「だから龍も龍の家族のことも昔から
良く知ってるんだ
龍も俺も小さい頃からまわりの大人は
普通じゃなかったんだ
俺はうまく逃げられたけど
龍は散々な目にあってきたからな…
弟みたいなものだな
でも結局今はこうして親父の後を継いだ
あの人の手を借りたりしてるんだからな
どうしようもないな…」

とても悲しそうな顔をしていた

私は言葉が出ず
もどかしくて
謙さんの左手をそっと握った

「美紗はさ
何も聞かないし言わない
でもさ…
それは自分のことを聞かれることが嫌なんだろうな
俺がそうだったからさ…」

その通りだった

人と歩み寄るには
何気ない世間話から
身の上話

私はそれを苦手としていた
だから聞いてしまうと自分も聞かれるのが嫌で
避けていた

「俺は美紗が何を思って何を望んでいるか
もっと分かるようになりたい
美紗…今は話さなくていいけど
少しずつでいいから美紗のこと教えてくれるか?
美紗のこともっと知りたいんだ…」

私は何も答えられなかった

謙さんもそれ以上何も言わなかった


私はどうして変われないんだろう
ずっと自分の殻に綴じ込もって
でも一人ではいられなくて…

自分で自分のことが良くわからなかった




翌日からはお店の改装工事がはじまり
工事が終わるまで
広告や内装
備品を考えたり

価格を下げるため
お給料が少し下がってしまうことと
お店のコンセプトを変えることに納得して
残ると言ってくれた女の子たちと
ほぼ毎日マッサージの研修を行った


「コウさん!すごい、これ気持ち良いです!
今度のお店のほうがいいな
抜けるとか触れるとか思って来るお客さん多くて
正直しんどかった…」

「そうそう…」

他の女の子たちもうなずいていた

「それにあの社長セクハラじじい
やたらいやらしい話とか講習しようとか…」

女の子たちの不満は尽きなかった

私は謙さんに言われた通り
本名で仕事をしないことにしていた
どちらでも構わないと言われたけど
従業員やキャストさんとの間で
インターネットに実名をあげられてしまったり
ストーカーと化して自宅をつきとめられたりと
トラブルが多かったらしく
社長や従業員は
本名で呼び合わないことが多いと聞いた

私は少しだけ
自分自身から解放されたような
そんな気持ちになっていた









/202ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ