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第9章 決心

仕事に没頭して
考えないようにする

仕事の後は吐いても吐いてもお酒を飲む

その繰返しになってしまっていた

ある日バーのトイレで
鮮血をもどしたまま動けなくなってしまい
救急車で運ばれた
目が覚めたときには病院のベットの上だった

朝方なのに謙さんがそこにはいた

「帰らなくていいの?」
私が聞くと

「美紗が目が覚めたら行こうと思ってたよ…」
謙さんが優しく笑った

「大丈夫だから…
ごめんね…もう行って…お願い…」

そう言うと
謙さんが私のおでこに優しくキスをして出て行った

入れ違いに龍が入ってくる

「馬鹿!あほ!急性アルコール中毒だぞ!
一歩間違ったら死んでたんだぞ!
酒嫌いなくせに!
どうしちゃったんだよ…お前…」

そう言ってベットの横に座ると
「横山さん外にいるから…」
となぜか龍が小さな声で言った

救急車で運ばれるとき
バーの店長がお店に連絡をしてくれていた
まだお店に残っていた横山さんが電話に出て
謙さんに連絡をしてくれていた

龍は謙さんと一緒にいて
二人で病院に駆けつけてきてくれたときに
横山さんも病院の駐車場にいたと言う

龍が何故私をきちんと見ていなかったんだと
謙さんを怒鳴り
横山さんが制止をしてくれたという

「美紗…お前もう限界じゃないのか?
謙さんと別れたほうがいい…」

「分かってるよ…ごめん…ごめんね…」

龍は私の頭を優しく撫でると

「横山さん呼んでいいか?」
と言った

私は龍に気持ちや迷いを悟られてしまうのが怖くて
返事ができずにいた

「横山さんさ…多分お前のことが好きだ…
なんとなくそうかなって思ってたけど
今日確信した
今お前に必要なのは謙さんでも俺でもなく
横山さんなんじゃないのか?」

龍に言われて戸惑った

私はそれを認めるのが怖くて
自分自身の気持ちが分からなくて
逃げていた

うなずけないまま困った顔をしていた私に
龍は言った

「美紗…
俺も謙さんもお前が好きで大切だ
家族みたいにな
でも多分俺らじゃだめなんだ
美紗が傷付くばかりになっちまう…
謙さんも言ってたよ…
自分が美紗を追い詰めたって…」

涙が止まらなかった

龍が立ち上がってドアのほうへ向かう

「待って!龍まで行かないで!」
思わずそう口に出してしまっていた





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