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第9章 決心

私は小さな頃から早く結婚したいと
思っていた

あの家から完全に逃れるにはそれしかないと
思っていた

10代の頃は若さの勢いもあり
「子供を作って結婚しよう」
と避妊しないときもあった

でも月のものが3ヶ月に一度くらいしかなく
半年こないときもあった

そんな私の身体は子供を授かることはなかった

兄はいつの間にか結婚をし
一人娘だからと婿養子になっていた
きっと兄もあの人たちから逃れたかったんだろう

久し振りに連絡をとった兄は私に

「お金貸してくれって言われても
絶対に貸しちゃだめだぞ」
と言われていた

父は会社のお金や支払いがまわらないと
あわせれば数百万ものお金を
兄から借りたままだといい

母はパート代をパチンコに浪費し
「パートのお給料までもたないから三万円貸して」
とやはり何度も兄に言ってきたと聞いた

私は母に自分のお給料から数万円を
毎月母の口座に入金していた
あの家に一人置き去りにしてしまった
せめてもの懺悔として

でもそのお金も
みんなパチンコにつかってしまっていたんだろう

私が物心ついた頃から
夜は近所のパート仲間とお酒を飲みに行ったり
休みの日はパチンコに行っていることも
知っていた

父も母も好き放題自分勝手にしている様子が
私の心をどんどん蝕んでいた

私は本当の「好き」というものが
どんなものか分からなかった
だから自分を想ってくれていた人を
大切にできなかった

家族というものが分からなかったから
本物の温かい家族が欲しかった

謙さんとなら間違いなく穏やかで幸せな日々を
過ごせただろうと分かっていたけど
謙さんに家族を捨てるようなことは
してほしくなかった

きっと謙さんが今まで出会った人々の中で
一番私に変わらぬ愛情を注ぎ
色々なことを学ばせてくれ
いつも見守ってくれていた

でも
これ以上は一緒にいられないと思った

たった一人で
この想いを消すことはできないのではないかと
横山さんに助けを求めてしまった

だからこそ幸せにならなければ
幸せになりたいと思った

謙さんは最後に言った

「もしも…なにかあったときには
すぐにどこにでも迎えに行くから…
必ず俺に一番に言ってほしい…美紗には
幸せになってほしいって思ってるけど…
俺の隣以外でそうなってほしくないと願ってしまう
ずるい俺もいるんだ…」


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