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第10章 結婚生活
私は潔癖症気味だった
幼い頃から手が汚れることが苦手だったり
トイレやドアノブに素手で触れることに
抵抗感が強く
家族の入浴したあとの湯船に
浸かるのが嫌で一番ではないときは
シャワーで済ませていた
友達に
「それはかなりのものだよ」
と言われるまで自分では気付いていなかった
行為の前には歯磨きとシャワーを
後にまたシャワーを
それが当たり前だった
彼のあそこから出たそれを
抵抗感を感じることなく
受け入れられたのは
身も心も彼を受け入れているからだと確信した
私はずっとずっと
穏やかに彼と暮らしていくと
いくつになっても
気持ちが変わることはないのだろうと
共に過ごす時間を重ねるごとに
その想いは強くなっていた…
私の実家にも二人で挨拶に行った
父はいなかった
母は
「こんな広い家があるんだから
一緒に住めば良いのに…」
と何度も言っていた
彼も乗り気だったけど
私はそれを強く拒否した
彼には言っていなかったけど
母や父からのお金の無心は続いていた
共に暮らすということが
お金が目当てだとしか思えなかった
気持ちが再び暗い闇の底に
落ちてしまいそうになっても
彼との生活の中で自然とリセットされるように
なっていた
ある日彼が私に聞いた
「貯金いくらくらいになる?」
彼はお給料の全てを私に渡してくれていた
欲しいものもあまりないからと
仕事に必要なものや
食事代以外のお金はいらないと
結婚してはじめてのお給料からそうしてくれていた
私のパート代と合わせて
貯金をしていたけど
父が税金を未納にしたままで差し押さえがきてしまうと
住宅ローンも数ヶ月払っていないと
泣き付かれ
度々まとまった金額を渡してしまっていたため
計画通りに貯蓄はできていなかった
「そんなにはないかも…どうしたの?」
私が聞くと
前に結婚していたときに
別居期間が数年あって
その間に渡していた生活費を
奥さんが浪費してしまっていたらしく
家族カードの支払いの件で
裁判所から通知がきてしまったと言う
さらには市民税や保険のお金も
渡していたものはほとんど支払われずにいたことが
発覚したという
彼は奥さんと大きな言い争いをした日に
家を出て地元を離れ
謙さんたちの住む街へ流れ着き
住民票の異動など一切しないままだったと言っていた