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第3章 変化
些細な喧嘩もなく
穏やかな日々が半年を過ぎる頃
インターホンが鳴った
「あぁ、またセールスとかかな」
そう思ってモニターを覗くと
そこには女の人が立っていた
「はい…」
私が答えると同時に
突然ドアノブをガチャガチャと回す音がした
慌てて玄関に行くと
「ちょっと開けて!話があるから!」
さっきの女の人がドアを叩いて叫んでいた
私は怖くて彼に慌てて電話をすると
「今お昼休みになるからすぐ戻るから!」
そう言って彼がしばらくして帰って来た
ドアの向こうで女の人が泣いて怒鳴る声と
それを宥める彼の声がして
私は何が起きたか分からずにいると
外から彼が鍵を開けてドアを開けた
「俺はもう無理だって何度も言ったし
この子と付き合って一緒に住んでるんだ
もういい加減にしろ!」
彼が強い口調で言うと
女の人は泣き崩れていた
彼は私に私と付き合う少し前に別れた彼女だと
何度もやり直したいと言われていたけど
断っていたんだと
冷静に説明する
「うそつき!この女ができたから
私と別れたんでしょ?」
これが修羅場というんだろうか
私はどうすれば良いんだろう
なんだか他人事のように思えてしまっている私がいた
「車まで送ってくるから」
気がつくと彼がそう言って
女の人と階段を降りて行った
私はやっと終わったんだと
キッチンでコーヒーを入れていた
そのとき
キッチンの窓ガラスが割れ何か大きな塊が
飛び込んで来た
「おい!大丈夫か?」
彼に顔をあげると
目の前にはたくさんの割れたガラスの破片と
大きな石があった
飛んできた破片で私は腕を怪我していた
「なっなに?なにが起きたの?」
彼に聞くと
「あいつもう落ち着いたから分かったから
ごめんねって言ってたから
急いでこっち戻って来ようと
階段を上がってたら何か叫んで投げたんだよ
ごめん」
彼は困り果てた顔をして頭を抱えていた
私は
「よっぽどあなたのことが大好きで
諦められなかったんだね
そこまで人を好きになれるなんて羨ましいよ」
と思ったままを告げると同時に
「自分を見失うほど好きだったんだね
どんな事情があったのか分からないけど
そこまであなたを好きって言ってくれる人と戻ったほうが…」
言いかけたとき彼が私を見て言った
「俺のこと好きじゃないの?」
悲しそうな目で彼が私を見て言った