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第11章 気持ちの変化
父は長引く入院生活のせいか
自暴自棄な発言をしたり
無気力に横たわるだけになってしまったりと
不安定になっていた
「御飯は一緒に食べていってくれ…」
と
他の患者さんと
コミュニケーションをとれない父は
行くたび私を力なくひき止める
母は病室のベットで絵を描いたり
小説を読んだりして日々を過ごしていた
私はそれぞれの病院に行き
数時間ずつ過ごし
実家に着くと洗濯や家事をして
一人過ごす
相変わらず居心地は良くなかった
良い思い出などない
このただ広いだけの家のリビングのソファに
横になると
ため息ばかりついていた
そんな中でも自宅に戻ると
なんともないふりを演じてしまっていた
愚痴や不満で実家に行くことを
とめられてしまっては困ると思っていた
金銭面ではアルバイト代と
兄が毎月私の口座に入金をしてくれていたおかげで
追い詰められるほどではなかったけど
この先どうなってしまうんだろうと
不安でたまらなかった
ある日
お店の常連さんから今夜は接待だからと
できれば私に接客してほしいと連絡があったと
ママから電話が入る
私は家庭の事情を話し
同伴やアフターやお客さんとの個人的な
連絡などは極力は避けていきたいということを
了承してもらっていた
私はその夜自宅に戻る予定だったけど
私の事情を考慮してくれ
それでも働かせてくれているお店に
できる限りは協力したいと思っていた
その夜は
「疲れていてどうしようもないから
今日は実家で眠りたい」
と嘘をついて自宅に戻らずお店に出た
この夜から私の中の全てが少しずつ
変化していくことになる…