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第12章 蜘蛛の糸


「ごめん…少し落ち着くまで実家にいたいの…
必ずちゃんと帰るから…ごめんなさい…」

私は夫に電話をかけた

「そうか…分かったよ…
ごめんな…待ってるから…」

ひどく落ち込んだ声だった

こんな些細なことで申し訳ないと
自己嫌悪にかられながらも
ほっとしていた

寝不足と泣いたせいで私はひどい顔をしていた

夕方が近付き
今夜はお店を休ませてもらおうかと
思ったけど
先にママから飯島くんが早めの時間から
今日は友達とお店に来てくれると
連絡があったと言われた

直前まで湯船に浸かり
目元を冷やして身仕度をする

私が着く頃には彼はもうお店にいるんだな…

そう思うと胸がドキドキした

何度も鏡を覗き
彼の待つ席へ向かう

彼の友達三人はそれぞれお気に入りの女の子を
隣に楽しそうに飲んでいる
彼は向かいの席に一人座っていた

「おそいー!涼太待ちくたびれてますよ!」
彼の友達がからかう

私は笑顔で挨拶をして
彼の隣に座る

「ごめんね…うるさいの連れて来ちゃった
他に行くくらいならって
俺が無理矢理ここじゃないとって駄々こねたんだ」

と彼が笑う

私はお酒を作りながら
彼の話に耳を傾ける

思わず笑ってしまうような話のすぐあとに
彼が私の肩を掴むと

「ちょっとこっち向いて!」
と言った

「おい!なんだよー
痴話喧嘩か?」
向かいの席から友達が野次を飛ばす

「違う違う!いちゃつくだけだから!
ほっとけ!」
彼はそう言って私を真っ直ぐ見る

私は思わず目をそらしてしまう

「お前…ごめんっ
美紗さん泣いてたの?」

私は唇を噛み締めながら
大きく首を横に何度も何度も振っていた

「分かった…分かったから
変なこと聞いてごめんな」

彼は私の頭を大きな手で軽く
ポンポンとして笑った
そして私の手首を引き寄せると
指と指を強く絡ませて手を握った

「ちょっ…」
私が手を離そうとすると

「いいからこうしてて!」
そう言って片手で煙草に火を着けた

「おてて繋いでやらしーの!」
友達がからかう

「いいの!俺にはこのくらいの権利は
通いつめてるからあるはずだし!
なっ!」

彼が繋いだままの手をいたずらに揺らす

緊張して自分の手が汗で湿っているのが分かる

でも彼の手が離れることはなかった






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