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女は抱かれて刀になる
第5章 刀匠の武器
和泉は頷きながら、虎徹の髪に手を伸ばす。
「水も滴るいい男だね、虎徹」
「遠慮なく飛び込んできていいんだぞ」
「やだ、濡れちゃうもん」
嫌だという割に、和泉は髪を弄る手を止めない。そして虎徹の頬を押さえると軽くキスして、濡れた唇を舐めた。
「虎徹の仕事見てたら、金属相手に嫉妬しちゃった。虎徹の手で作られる刀は、幸せだね」
「お前の事も可愛がってるだろ? なんだったら今からでも」
「駄目だよ、仕事中でしょ? ボクのせいで仕事遅れて無職になったら困るでしょ」
「それなら、仕事が終わったらだな。褒美があれば仕事のやる気は出るし、夜も退屈しないですむ。一石二鳥だ」
「鼻の下伸ばしてると、水が滴ってもバカっぽく見えちゃうよ」
和泉はようやく手を離すと、立ち上がり深呼吸する。春の山の中、空気は暖かく澄んでいた。
「さーてと、虎徹の職人技も見れたし、ご飯食べてこよ。ボクが見てないからって、サボっちゃダメだからね!」
「なんだ、もういいのか?」
「うん、もういい。あんまり見てると、辛くなるから……ボク、案外嫉妬深いみたい」