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女は抱かれて刀になる
第5章 刀匠の武器
それは冗談のようで、どこか重みがある。今日初めに顔を合わせた時にも感じた違和感。虎徹は和泉の手を取り、引き止めた。
「どうしたの、虎徹?」
「ああ、いや……あのな、今後どうするかなんだが。こっちには吉行もついてるし、俺にも色々考えがある。お前が悩む必要はもうない。後は俺に任せて、ゆっくり休めよ」
「うん。ありがと」
「向こうはもう、お前に危害を加えてるんだ。これは一人の力で解決出来る問題じゃない。俺を頼ってくれ」
「――うん」
和泉は濡れるのも構わず、虎徹に抱き付く。水で冷やされていても、虎徹の熱は心地のいいものだった。
「じゃあ、お言葉に甘えて休もうかな。今日は、ご飯食べたらゴロゴロしててもいい?」
「ああ。わびしい飯でよければ、いつでも作ってやるよ」
和泉は笑顔を浮かべ、虎徹に手を振り家へ戻っていく。虎徹には、言葉でどれほど和泉を安心させられたかは分からない。最後に出来るのは、行動のみ。
(今はとにかく、刀を完成させないとな)
虎徹は拳を握り、意識を研ぎ澄ませる。立ち上がった虎徹は、精悍な男の顔つきをしていた。