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女は抱かれて刀になる
第5章 刀匠の武器
「だって、つまらないって言ったんでしょ。つまらないならいらないじゃん。いいよ、無理してボクを飼わなくたって……」
菊はぼやく和泉の顎に手を伸ばし、顔を上げさせる。そしてすっかり光の消えた和泉の瞳を見つめ、感情なく言い放った。
「あなたがつまらないのは、そういうところですよ」
「意味が分かんない。そういうところって何」
「いつまで拗ねているつもりですか、和泉。いきなり女にさせられたのですから、戸惑うのは理解出来ます。ですが、いつまでも現実逃避されても困ります。今を受け入れなさい」
「受け入れてなきゃ、ここにいないよ。ずっと菊のやりたい事に付き合ってきたじゃん」
菊が不満を抱いているのは明らかだが、和泉にはどうしてもその理由が分からなかった。虎徹の元を離れ菊を選んだだけで、和泉としては最大の譲歩である。和泉の疑問に答えたのは、割って入ってきた見知らぬ男だった。
「付き合ってはいるが、それは体だけだろう? 嬢ちゃん、目が死んでる。心は切り離して閉じ込めて、それが男が楽しいと思うか? なら嫌がって泣かれた方が、心も犯してるみたいで楽しいじゃないか」