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女は抱かれて刀になる
第5章 刀匠の武器
「確かに、僕には浣腸やスカトロで興奮する趣味はありませんね」
「だったら、いいでしょ!? こんなのやだよ、助けて、菊さん」
「ですが和泉がそれで生きた声を取り戻すなら、付き合っても構わないと思いますよ。現に人形みたいだったあなたが、今は感情を剥き出しにしている」
菊は眉一つ動かさず、懇願を一蹴する。突き放された和泉に残されるのは、底のない絶望のみ。だが涙が頬を伝っても、助けようとするものはなかった。
「……ゃ、いや!! 離して、帰して!! 何でもするから、やめてっ!!」
「――本当に、なんでもするんですか?」
「なんでもするっ!! 全部菊さんにあげるから、だから」
「では、近藤虎徹を殺しなさい」
冷え切った声と同時に、菊が和泉の前に投げ出したのは拳銃だった。
「これで奴の心臓を撃つと誓うなら、止めてあげましょう。出来ますか、和泉」
菊の出自を考えれば、投げられた拳銃は間違いなく本物だ。そして言葉も、冗談の類ではない。
「出来るんですか、和泉」
黙ってしまった和泉に、菊はもう一度問い掛ける。だが和泉は、震えるばかりでぴくりとも動かない。