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女は抱かれて刀になる
第1章 始まりは金曜日
十二時を知らせる壁掛け時計の鐘の音が、意識を飛ばした和泉を覚醒させる。乱れた体は綺麗に拭かれ、きっちり服も着せられて、和泉は煎餅布団に寝かされていた。
「……おはよう、虎徹」
虎徹はいかにも手作りな木製のテーブルに肘をかけ、本を読んでいた。だが和泉が目覚めると、すぐ本を閉じ、布団の隣へ座り直す。
「なあ、今更なんだが、お前学校は? 今日は金曜だろ」
「学校なんて入学式以来行ってないもん。ボク嫌われてるし、行ってもつまんないし」
「行かなきゃ進級できないだろ――まさか、まだ中学生だとか言わないよな」
「一応高校生だよ。中学生の方がよかった?」
「いや、中学生は犯罪だろ……ああ、高校生でも犯罪か」
頭を抱える虎徹を尻目に、和泉は起き上がり虎徹の読んでいた本を手に取った。部屋に入る時和泉は目もくれていなかったが、大きな本棚には歴史小説や日本刀の資料などが並んでいる。
「虎徹って筋肉あるからバカかと思ってたけど、意外に頭いいんだね」
「あのな……それが学校行ってない不良娘の言葉か? 筋肉あって頭のいい奴なんて、ごまんといるからな」